農地所有者の実態把握 農家に戸別訪問で聞き取り 鳥取・日野町農業委員会

集落を訪問し、農地利用の最適化について話し合う
集落訪問後、守るべき農地などを色分け

 日野町農業委員会(長住武美会長)では、今年7月~9月に町内の農地所有者を対象に戸別訪問によるアンケート調査を実施した。今後、第5期の中山間地域等直接支払制度の集落協定への取り組みが困難と回答した集落で話し合いを進め、守るべき農地を明確化するとともに、農地中間管理事業を活用した担い手への農地集積を進めていく予定だ。

 同委員会では今年4月、農業委員5人、農地利用最適化推進委員3人の合計8人に加え、町独自の農地利用最適化協力員3人を設置して体制を強化。7月~9月に町内の農地所有者を対象に農地に関するアンケート調査を行った。
 調査にあたっては、農地台帳で把握した町内の農地所有者に戸別訪問して聞き取りを行うこととした。準備段階では、農地台帳には死亡した名義人がそのまま残っている未相続の農地や、既に転出している所有者が数多く存在していることが判明した。そこで担当地区ごとに打ち合わせを行い、知りうる限りの実態を把握したうえで戸別訪問を実施した。
 訪問調査を実施した結果、回答者の平均年齢は65歳、農業後継者については有りが37.2%、無しが61.9%であった。また、所有している農地をあと何年維持できるかについては、5年が46.4%、10年以上18.5%で、維持できないとの回答も29.3%あった。
 これらの回答を地図に落とし、維持できる年数、後継者の有無で農地の色分けを行った。今後、中山間地域等直接支払制度の集落協定を締結している集落のうち、第5期の中山間地域等直接支払制度の集落協定への取り組みが困難と回答した集落で座談会を開く予定だ。作成した地図や航空写真を活用し、話し合いにより集落として守っていく農地を明確にしてもらう。あわせて地域の担い手とも話し合いを進め、農地中間管理事業の活用を推進していく予定だ。
 また、中山間地域等直接支払制度の第5期対策の集落協定の締結に向け、集落の抱える問題や改善策についても聞き取りを行うこととしている。
 農業委員会制度の改正以降、農業委員会総会で、集落の現状把握や農地利用の最適化に向けた議論がより活発になった。
 長住会長は、「農地利用の最適化を進める上で一番大事にしたいことは、まず農地所有者が自分の農地に対してどのような思いを持っているのかということではないか。今回の取り組みをもとに、今後の農地利用の最適化に向けた取り組みを一層充実させたい」と抱負を語った。