両委員ペアで戸別訪問 今後と状況を全戸調査 香川・善通寺市農業委員会

 善通寺市は、地形は平地だが、市の南部と西部は山間地に隣接している。米と麦、野菜、畜産を組み合わせた複合経営に取り組む農業者のほか、山間地や傾斜地を活用し、キウイフルーツなどの果樹栽培の認定農業者や新規就農者も目立っている。同市農業委員会(立石泰夫会長)は2017年7月に新体制に移行し、農業委員14人、農地利用最適化推進委員14人で活動している。

 同委員会は、2018年5月から12月にかけてJAの生産組合単位の7地区に分け、農地所有者を対象にした意向調査を実施している。同調査は、地域の農地をどう有効活用していくか考えていくための基礎データの収集、また人・農地プランの実質化に向けた資料として活用するために行った。
 調査は、農業委員・推進委員がペアになって戸別訪問し、経営主から話を聞く形式で行った。項目は、(1)集落や地域の農業の今後の展望や意見など(2)農地の耕作や後継者に関する状況などの2点。
 聞き取り調査がやりやすいよう設問内容も工夫し、調査する農業委員・推進委員と経営主に負担をかけないようにした。
 調査にあたっては、円滑に聞き取りができるよう、事前に地元の生産組合長に依頼して所有者への周知を図った。「初めての取り組みになるため、事前の周知はしっかり行った。関係機関との連携は不可欠」と担当者は振り返る。
 聞き取り調査をしていく中で、農業委員会をはじめとした関係機関への要望や農地の相続などの手続き、地域のトラブルなどの相談もあった。地元の農業者と顔を合わせ話をすることで、農業委員会を身近に感じてもらえるようにとの狙いもあった。
 本年度はさらに調査をすすめ、耕作者ごとに規模の拡大や縮小の意向を一筆ごとの詳細なデータとして取りまとめる予定だ。「昨年度の調査の実績や経験を活かすことで、より円滑に聞き取りを行えるはず。農業委員会として活動を積み重ねていきたい」と担当者は話す。

調査について協議する事務局(立石会長は中央左)

 市内では、現在約3地区で人・農地プランの実質化を終了している。この3地区は集落営農法人が活躍する地域で、農地の集積・集約化が比較的図られている地域だ。今後、市では1~2年をかけて計10地区のプランの実質化を図っていく予定だ。
 担当者は「担い手の高齢化や減少が市内でも叫ばれる中、農業委員会として積極的に情報提供し、人・農地プランの実質化に向けた話し合い活動などに参加し、市農業の活性化を図っていきたい」と話す。