三つの常任委員会設け精力的に活動 島根・安来市農業委員会

 安来市は県の最東部に位置し、水稲を主力に園芸、果実、畜産、花卉の栽培が盛んな地域で、特にイチゴが有名だ。安来市農業委員会(岡田一夫会長、農業委員19人、農地利用最適化推進委員36人)は三つの常任委員会を設置し、関係機関と連携して活動を活発化している。

現地調査
農地集積情報交換会
岡田会長

 同委員会では、農地対策委員会(8人)、農業政策委員会(5人)、農業振興対策委員会(6人)の三つの常任委員会を設置している。
 各委員会は農業委員で構成されており、それぞれで話し合った案件は総会終了後の農業委員全体会議で報告する。後日、地区別会議を開催し、推進委員と内容を共有できる仕組みとしている。
 農地対策委員会は、農地利用状況調査(農地パトロール)などの推進委員の活動について、農業委員会だよりを活用して農業者への理解と協力を求めながら、違反転用の発生防止について啓発を行っている。
 農業政策委員会は、2020年度に中山間地域等直接支払制度の第5期対策が始まることから、昨年6月に中山間地域の農業者を対象に、県、市、しまね農業振興公社、JAなどの関係機関と連携して「農業者との意見交換会」を開催。「事業実施地区を再考して合併や広域的な連携を模索する機会」として意見交換を行った。

 農業振興対策委員会では農地利用の最適化に向け、昨年10月に関係機関と「農地集積情報交換会」を開催した。
 これに先立ち、4月から7月に自作地千平方メートル以上の約4千軒の農家のうち、約1200軒を推進委員が訪問。農地の利用状況や農業従事者の状況、後継者の有無、今後の農業経営の意向などについてアンケート調査を行った。
 同情報交換会は、市内4地区に分けて担当の推進委員が調査結果について報告。後継者の問題などから廃業意向の農家もかなりの軒数あるなど、地域の厳しい実態が共有された。市や県農業普及部では、人・農地プランの実質化に向けた支援や集落営農づくりの推進、JAからは生産振興に向けた情報の提供、農業振興公社からは農地中間管理事業への取り組みがそれぞれ報告され、地域の課題への対応などについて意見交換した。
 岡田会長は「農業委員会が現場活動を通じて把握した情報を関係機関や農業者に提供することは、人・農地プランの実質化に向けたきっかけづくりになると期待している。推進委員の現場活動を活かすため、関係機関と連携して活動する常任委員会の役割は極めて重要」と話す。