情報を効率よく管理 神奈川・厚木市農業委員会

 厚木市農業委員会(堀池春夫会長)では、農地情報公開システムを活用し、情報を効率よく管理・公表することで農地利用の最適化につなげている。

パソコン上でシステムを操作する厚木市農業委員会職員
農地ナビの地図情報はスマートフォンで見ることができる                

 同市は、市街化区域が多く都市農業が盛んな一方で、西部には中山間地域が存在する。同委員会では2018年度に農地台帳を総整理し、現況が森林の様相を呈している土地62.19ヘクタールについて、県内でもいち早く非農地判断を行った。この作業で活躍したのが同システムだ。
 農地パトロールなどで得られた現況の情報を同システムに入力をしておく。入力されたデータのうち、非農地判断の対象となり得るものをCSVファイルで出力し、リスト化して地図に落とし込んだ。
 この地図をもとに再度、農業委員と農地利用最適化推進委員が現地調査し、最終的な判断をした。判断結果は、同システムのCSV取り込み機能を活用。約千筆分の入力が30分程度で終わった。データ管理を担当した事務局職員の泉翔太さんは「用意されている機能を活用すれば短時間で入力できる。正しく入力しておけば非農地は一括して農地面積から除外して集計できるなど機能も十分だ」と話す。
 非農地判断を行うことで、これまで時間をとられていた中山間地の農地パトロールが省力化できた。この時間を遊休農地の発生防止や担い手への集積に充てることができる。

 2018年度の農地パトロール結果では、39.90ヘクタールが草刈りなどの管理のみで作付けがされていなかった。この農地が将来的に遊休化することを懸念した推進委員が、新たな担い手が農地の所有者の意向をいつでも閲覧できる体制づくりの必要性を訴えた。そこで、新たな取り組みとして「農地情報みえる化プロジェクト」を2018年12月に立ち上げた。
 ここでも同システムを活用した。推進委員が戸別訪問を実施して、農地所有者の意向などの情報を収集した。集めた情報は即、同システムに入力。自動連携機能により、最短で翌日には全国農地ナビ上で公表される。インターネットになじみのない農家には、JAあつぎの協力の下、支所窓口に印刷した農地の地図と農地情報を掲示することで対応した。このプロジェクトにより、昨年12月時点で1.78ヘクタールが貸借された。
 堀池会長は「守るべき農地を明確にしたことで、最適化業務に注力できるようになった。遊休農地をなくすためには、まず発生防止から始めていくことが重要だ」と語る。