事業活用、集積へ 推進チームを結成 石川・輪島市農業委員会

 輪島市農業委員会(田上正男会長)は2018年8月に県内で最後に新体制に移行した。農業委員19人の体制から、農業委員15人と農地利用最適化推進委員15人の体制となった。移行にあたり、女性1人と青年農業者3人が選任された。

最適化研修で農委会の役割を確認
農地集積に向けた集落での話し合い(里町集落)
田上会長

 同委員会は市内15地区に農業委員と推進委員を2~3人配置。移行により3分の2の委員が入れ替わったことから、利用状況調査を通じて担当する地区の状況を把握することから始めた。
 また、昨年5月には「農地利用の最適化」について研修会を開き、農業委員会の役割について確認した。
 8割以上の集落が中山間地域に位置し、平地と中山間地が混在する同市では、中山間地域では遊休農地の発生防止に、平地では担い手への農地の集積・集約化に向けて取り組み、圃場整備事業の導入を通じた集積を図っている。
 同市では農業委員会、市農林水産課、奥能登農林総合事務所など関係機関が連携し、推進チームを結成。担当地区の農業委員や推進委員も参加し、事業の活用と農地の集積に向けた集落での話し合いを進めている。
 参加者からは「今後、担い手に預けるには圃場整備が必要だが、市外に出た農家も多いため地権者全員の同意は難しい」「話し合いの途中で事業の採択要件が当初の話から変わるのは困る」などの改善を求める声もあがっている。

 現在は3集落で話し合いが行われている他、他地区でも農業委員が地区の区長会に働きかけて圃場整備の説明会を開催。各区長などと意見交換し、掘り起こしを行っている。
 また、昨年9月に作成した人・農地プランの実質化に向けた工程表に基づき、推進チームを中心に担い手や農地所有者へのアンケート調査を実施している。加えて、今月中に農業委員会が主体となって各委員が担当地区内の全集落の区長を対象にアンケート調査を実施し、集落の農地や農家の状況、各種事業の活用などの意向を取りまとめることとしている。
 高齢化や担い手不足が急激に進む同市では、集落の維持も重要な課題だ。今後は意向調査の結果を踏まえ、圃場整備事業の他、中山間地域等直接支払交付金などの集落での話し合いの場を利用し、各集落のプランづくりを進めていく。