農地を活かし担い手を応援する 遊休農地解消し担い手へ 埼玉・宮代町農業委員会

 埼玉県の宮代町農業委員会(折原昇会長)では、町と連携を図りながら、農地利用の最適化推進に力を入れて活動をしている。特に、遊休農地の解消から、担い手への農地利用集積による活用に至るまでの一連の取り組みに力を入れた活動で成果を挙げている。

 改正農業委員会法のもとで今年4月に改選が行われた宮代町農業委員会。「新たな体制となり、農地利用最適化の推進に今まで以上に取り組んでいきたい」と折原会長が話すとおり、これまでさまざまな取り組みを行ってきた。
 町の農地を有効的に活用したいという思いから、2003年に農業委員会内に「遊休農地対策研究会」を設置し、農業委員が自ら遊休農地の再生作業を行い、再生後の農地を担い手へ結びつける活動を展開。これまでに7.5ヘクタールを再生し、担い手や新規就農者へ結びつけている。
 解消した遊休農地を再び荒れさせないために、解消前に利用者などとの調整を終えていることが、成果を挙げ、取り組みを継続させているポイントだ。
 また、一般市民から解消活動に協力する「遊休農地解消活動サポーター」を募集し、農業委員とサポーターが一緒に作業を行っており、町民の農業や農地の有用性への理解促進に寄与している。
 ネギの生産・販売を行う丸源アグリ(株)は、再生した農地を利用する担い手だ。同社取締役の栗原源さんは「農業委員に意向を聞いてもらえ、農地の効率的な借り受けができて本当に助かっている」と話す。
 再生された農地の他にも、周辺で利用されていない農地がある場合などでも、農業委員が相談に応じて貸借に結びつけるなど、利用調整活動にも余念が無い。
 また、農業委員は、町の新規就農者支援事業の「宮代町新規就農者支援委員会」へ参画し、「宮代町新規就農里親制度」でも技術支援を行う里親農家として積極的に協力するなど、新たな担い手の確保・育成のために、町と連携して支援を行っている。
 「農業委員は新規就農者がどこで何を作っているかなども把握している。町が積極的に活動を展開しているので、こちらも連携が取りやすい」と折原会長。
 町の担当職員も「農業委員が新規就農者を気にかけてくれるのでありがたい」と話す。
 こうした活動は県内でも先進的な取り組みになっており、「就農するなら宮代町が良いのでは」と就農希望者に紹介されることもある。
 「今後も町と農業委員会が連携し、取り組みを継続させ、より良い活動にしたい」と折原会長は気を引き締める。

写真上=再生された農地で談笑する折原会長(左)と栗原さん

写真下=遊休農地の再生作業(自ら遊休農地を再生する農業委員)