新生農委 新体制で農地を守る 静岡・富士市農業委員会

 農業委員会法改正で今年4月1日に新体制に移行した静岡県富士市農業委員会(中村俊彦会長)。旧体制では農業委員は34人だった。移行後は政令で規定された100ヘクタールに1人の割合で最適化推進委員を置いた。農業委員(19人)、推進委員(27人)を合わせると46人になり、12人増えて体制強化につなげた。
 「旧制度だと昨年の11月が改選期。新体制移行への分かれ目となる改正法の公布日がいつになるのかひやひやしていた」と昨夏を振り返る中村会長(73)。
 同法は昨年9月4日に公布され、新体制移行までの準備期間は約半年しかなかった。だが「富士市は各地区に農業者組織もあり、各地区から農業委員や推進委員を推薦してもらう環境が整っていたので、選任手続きを順調に進めることができた」と影島篤事務局長は話す。 
 11月議会で定数条例を制定後、12月5日から1月4日の約1カ月間、市のホームページと広報誌で農業委員と推進委員の推薦・公募の募集を行った。
 農業委員は、農協の支所が置かれる15地区の部農会などから認定農業者や青年・女性農業者、利害関係を有しない者などを含めて18人が推薦され、1人が公募により選任された。2月議会での承認を経て、任期初日に市長より農業委員を任命。同日付けで推進委員は27人(推薦25人、公募2人)を委嘱して、新体制のスタートを切った。
 同市は特産品の茶をはじめ、米や果樹(ナシ、キウイ、ミカンなど)の生産が盛ん。富士山の麓に茶園が広がる風光明媚(めいび)な農村風景は地域の宝だ。
 だが農家の高齢化に加えて、近年の茶価の低迷が足かせとなり、茶園の遊休農地が増えつつある。
 「農地を農地として守っていくのが農業委員会の役割。それには農家の生産意欲をなくさせないようサポート活動にもっと力を入れていかなくてはいけない」と語気を強める中村会長。
 「地域のお茶を学校給食に供給したらどうかと関係者で話し合っている。お茶の良さや地産地消を子どもたちに伝えることが地域農業を守ることにつながる」
 新体制になって両委員が連携して取り組む最初の大仕事は今夏に実施する「農地パトロール」だ。「調査結果を踏まえて、農地中間管理機構と連携しながら遊休農地の解消や農地の面的集約にも取り組んでいきたい」と中村会長は気を引き締める。

写真説明=今夏の農地パトロールの実施に向けて説明会を開催した