農地を活かし担い手を応援する 第2部 農地利用の最適化(35) 新規就農を応援 山口・萩市農委会

 農家としてやっていく覚悟を決めた新規就農者を応援したいと、山口県萩市農業委員会(片岡兼雄会長)はそのサポート活動に力を入れる。
 昨年は、同県の農産物ブランド「千石台ダイコン」の生産で有名な千石台集落に新しく仲間入りした光井優さん(25)の経営農地の整備に委員会一丸となって取り組んだ。
 光井さんは2年前まで出身地の岡山で保育士をしていたが、同集落に実家を持つ奥さんとの結婚を機に移り住み、夫妻で農業経営をする決意を固めた。「奥さんからダイコン作りの話を聞いていたら、農業って楽しそうだなと思うようになって」と話す光井さん。
 現在は、青年就農給付金の準備型を活用して農業技術と経営のイロハを鋭意勉強中だが、「家族を養える経営に持っていくことが今一番の目標」だ。
 独立後に自分たちが耕作できる農地を集落内で探したところ、候補地として挙がったのは約15年もほったらかしの“耕作放棄地”だった。杉の木が何本もそびえ立ち、地面には四方八方、草やかずらがはびこる代物。「非農地判定しても良いほどの荒れ様でした」と渡邉善行事務局長は話す。
 そこで、この耕作放棄地の再生に動いたのが同委員会だ。かなりの人手が要ると判断した片岡会長は、農業委員の仲間はもちろん、集落の住民にも再生作業の協力をお願いした。「光井さんが集落の一員として早く溶け込むためにも、集落の住民にはぜひ協力してもらいたかった」(片岡会長)。
 働きかけの結果、昨年12月1日、委員と事務局、住民を合わせて50人が集まり、朝9時から5時間かけて再生作業に汗を流した。各自持ち寄った草刈機やクワ、ナタも使いながら厄介な草やかずらを除去。一部は事前に光井さんと義父で再生作業を進めていたため、この日、皆の共同作業で耕作放棄地は耕作可能な農地へと生き返った。
 「皆さんの協力が本当に有り難かった。“やってやるぞ”という決意がさらに強まった」と光井さん。
 希望とやる気に満ちる新規就農者の姿を励みに、委員会のサポート活動はこれからも続く。

写真上=千石台集落のダイコン農家の皆さん(右から2人目が光井さん)

写真下=再生作業に精を出す農業委員・事務局と集落住民