農地を活かし担い手を応援する 農地利用最適化へ体制整備 三重・津市農業委員会

 三重県では、改正農業委員会法の施行に伴い、4月1日から1市3町が新体制へと移行した。中でも津市農業委員会(守山孝之会長)は、農業委員と農地利用最適化推進委員それぞれの定数上限となる24人と86人、計110人を設置。新たな業務である「農地利用の最適化の推進」が円滑に実施できる体制を整備した。

 同市は、三重県の県庁所在地として県の中央部に位置し、2006年1月、旧津市を含む2市6町2村が合併し誕生した。面積は東京23区とほぼ同じ711.11平方キロメートルあり、県内市町で最大の面積を誇る。
 農業委員数は合併前の206人から48人まで減少し、8540ヘクタールの農地を少数精鋭で守り続けてきた。今回の改正では、さらに24人まで減少することとなり、業務推進に支障を来すことから、同市農業委員会では農地利用最適化推進委員を定数上限の86人まで設置することとした。
 推進委員の担当区域設定は、各地域で農業の実情が異なるため、農林業センサスの旧市区町村単位に最低1人を設置できるよう51地区とし、農地面積に応じて1地区あたり1人から4人までの定数を定めた。
 農業委員も合併前の市町村単位に最低1人は確保できるよう各自治会をはじめJA、消費者団体組織などに候補者の推薦を依頼した。
 昨年12月の定数条例などを定める市議会では、これだけの人数が必要なのかとの質疑もあったが、「地域の実情を把握するには必要最低限の人数」と理解を求めた。
 推薦・公募は市ホームページと広報、農業委員会だよりへ掲載するとともに、市の支所単位で説明会を開催。1月から1カ月間の推薦・公募の結果、農業委員は定数24人に対して28人、推進委員は定数86人に対して88人の推薦・応募があった。
 市と農業委員会では、あらかじめ定めた選考委員会の規定に基づき、農業に対する知識と意欲、就任後の取り組み内容などについて面接を行い、候補者を選考した。
 農業委員は、3月開催の市議会での同意を経て、4月1日に市長が任命した。推進委員についても同日開催した臨時総会で決定し、新体制へと移行した。
 同市農業委員会では、8月から農地パトロール(利用状況調査)を実施する。パトロールは推進委員を中心に農業委員と事務局職員も一緒に行う予定で、いよいよ推進委員の業務が本格的に稼働することとなる。

写真説明=4月12日に開催した津市農業委員会研修会。新農業委員と最適化推進委員の合計110人が参加。新たな使命である「農地利用の最適化の推進」に向けて必要な知識を研修した