人・農地プランの実質化へ農地所有者全戸調査 沖縄・石垣市農業委員会

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 石垣市農業委員会(亀谷善一会長)は、農業委員19人、農地利用最適化推進委員21人、計40人の体制。県内一の農業委員、推進委員を擁する。利用状況調査は両委員で行い、営農意向調査は農業委員と役割分担の明確化を図っている。

 同委員会では、「人・農地プラン」の実質化に向けた取り組みとして、市農政経済課と連携し、地区担当農業委員も参画した「人・農地プラン作成会議」を開催。管内5地区でプランを作成した。
 これまでの遊休農地解消に向けた利用状況調査(農地パトロール)、意向調査に加え、昨年9月から住民基本台帳登録者3399戸の農地所有者全戸を対象に「人・農地プランの実質化に向けた営農意向調査」を実施している。調査対象者については地域別や段階的な実施などの意見もあったが全戸調査を実施した。調査対象は農地台帳システムから抽出。2万4149筆の全筆から住基登録者外の6127筆を除いた1万8022筆、3399戸を対象とした。
 北部、中部、南部、東部、西部の5地区に仕分けし、地区担当農業委員が戸別訪問を実施。1農業委員当たり約200戸を受け持つ。現在、回収を進め、順次、集計作業を行っている。事務局では、戸別訪問による調査で委員が農地所有者とじかに接することで「委員会活動の見える化」を体現する機会とも捉えている。
 現場活動では、戸別訪問の際に農地所有者が不在で2度、3度と足を運ぶケースも多々ある。回収率への影響や調査する委員のストレス、モチベーションの低下も危惧されることから、今後、調査手法などに工夫と改善を図る予定だ。

 農地の利用集積については、2018年度実績で農地面積5393ヘクタールのうち集積面積は835ヘクタールで集積率は15.48%。2019年度は集積面積30ヘクタールを目標に、遊休農地所有者への意向、担い手への情報発信などを行った。
 遊休農地の発生防止・解消と利用集積に向け、同委員会では不在地主相談会を沖縄本島で毎年実施。関西に不在地主が比較的多く居住するため、4年ごとに大阪を中心とした関西地域でも不在地主相談会を実施している。
 同市では、アジア・太平洋に開かれた立地・自然環境を活かした国際的な観光リゾート都市構想を掲げており、リゾート開発が進んでいる。そのはざまで「農地利用の最適化」「人・農地プランの実質化」に取り組む農業委員会の活動が注目される。