「地域の声」反映したプランに 島根・江津市農業委員会

将来に向けた地域の話し合い

 江津市は島根県の中心部に位置し、水稲を中心に、中国地方最大の河川である江の川沿いの肥沃な畑地では有機農業による機能性食品の原料となる桑や露地野菜が栽培されている。農家数は830戸、農地面積は1754ヘクタール。

 同市農業委員会(佐々木英夫会長)は昨年10月から人・農地プラン推進チームの一員として、市、農地中間管理機構と連携しプランの実質化に積極的に取り組んでいる。
 同市にはこれまで2地区2プランがあったが、地域の声を反映させるため、地域の実情について農業委員・農地利用最適化推進委員にヒアリングを実施。同年12月には集落の代表者への説明会と個別の相談会を行い、20地区45集落を設定した。
 その中で水稲を中心とした都治地区をモデルとして、先行して話し合いを行い、プランの実質化を進めることとした。
 昨年12月には同地区の耕作者を対象にアンケート調査を実施した。農業委員と地区担当の推進委員が戸別訪問して、アンケート調査票の配布や地域の話し合いへの参加要請を行うなど積極的に参画した。
 アンケートの結果、同地区では75歳以上の耕作者が36%、70歳以上が全体の66%に上り、中心経営体の借り受け意向面積よりも75歳以上の農業者の耕作面積が多かった。

 将来に向け中心経営体の経営基盤の強化と新たな農地の受け手の確保が地域の喫緊の課題であるため、1月26日に話し合いが行われた。参加者からは「都治の農地を荒らしてはいけない」という共通認識のもと、「担い手に農地を集積し農地を守っていく」「担い手だけではすべての農地を守ることはできない」といった意見があがった。
 話し合いを受け、担い手への農地集約化を実現するための「UIターン者などの外部の人材を呼び込み、集落で支え定着できる環境づくりに取り組むこと」「担い手だけでなく非農家を含めた協力体制を構築すること」「担い手の効率的な経営のため土地の集約化などを視野に協議を進めていくこと」などの方針を定めた新たな人・農地プランの案を作成。検討会を実施し3月6日に新たなプランが策定された。
 佐々木会長は「都治地区では農業委員と推進委員が話し合いに積極的に関わることでプランが実質化できた。プラン実質化の進捗状況については農業委員会総会で常に共有している。その他の地区でもアンケートの集計が進んでおり、新型コロナウイルスの影響で集会の開催が難しい中にあるが、今後も積極的に取り組んでいきたい」と今後のプランの実質化について意欲をみせた。