40年にわたり後継者のパートナー対策 北海道・宗谷農村パートナー対策協議会

 農村社会が抱える課題の一つに、後継者の配偶者問題がある。酪農が盛んな北海道北部の宗谷地区では、6市町村の農業後継者配偶者対策協議会(農業委員会が事務局)が1979年に「宗谷農村パートナー対策協議会」を設立。農業後継者と女性との婚活交流会の開催などに取り組んでいる。

交流会中は、同協議会運営委員がサポートに回る
(猿払村農委会提供)

 同協議会は、未婚の後継者の状況と課題を共有し、共通する課題を解決するために設立された。40年以上にわたり後継者の配偶者対策に大きな役割を果たしている。
 事務局は6市町村(稚内市、猿払村、浜頓別町、中頓別町、枝幸町、豊富町)の農業委員会が3年ずつ務め、2020年4月からは猿払村農業委員会(円丁辰夫会長)が事務局を務めている。

交流会直前講座で学ぶ参加後継者(猿払村農委会提供)

 同協議会の役員は6市町村それぞれの農業後継者配偶者対策協議会の会長が、運営委員はそれぞれの事務局職員が務めている。
 同協議会の具体的な取り組み内容は、年に1回の婚活交流会と、委員が未婚の後継者の婚活をどのようにフォローすべきかを学ぶセミナーの開催などだ。
 交流会は、毎年秋ごろに開催。運営委員会が開催日程や内容を企画し、具体的な運営方法は同協議会事務局とイベント会社が打ち合わせを重ねて決める。
 2019年の交流会では、ホテルでディナーを楽しみながら、1対1の自己紹介タイムや、2次会までのフリータイムを経てマッチングを行った。また、交流会の開催直前には参加する後継者を集めてマナー講座を開くなど工夫している。
 2019年には1組のカップルが成立した。同協議会事務局は「近年は思うようにカップル成立に至っていない。参加する後継者が、必ずしも積極的な性格とは限らないので、アフターフォローを含めた主催者側のサポートが必要」と考えている。

 同協議会の円丁会長は、「全国的に農業者の高齢化や担い手不足により急速に離農が進み、宗谷地区も酪農家が激減している。後継者の配偶者対策は地域農業を守る手段の一つ。本協議会で年1回の交流会を開催し、出会いの場を設けていきたい。また、各市町村の婚活活動での課題を共有しながら取り組みを強化し、今後も応援していきたい」と話している。