地区の実態に即した「人・農地プラン」策定へ 栃木・高根沢町農業委員会

現地調査準備のための地区ごとの打ち合わせ

 高根沢町は栃木県の中央部に位置し、人口約2万9千人の町だ。町内の経営耕地面積は2015年時点で3930ヘクタール、うち3550ヘクタールが水田として利用されている。昨年の大嘗祭(だいじょうさい)では、同町で栽培された米「とちぎの星」が使用された。

 同町農業委員会(野中照雄会長、69)は2018年5月に委員改選が行われ新体制に移行。農業委員9人、農地利用最適化推進委員18人で活動を行っている。
 同町も全国の例に漏れず、農業従事者の高齢化や担い手の減少が課題となっている。総農家数は2010年の1504戸が2015年には1299戸となり、農業就業人口も2218人から1691人に減少している。
 こうした状況を踏まえて同委員会では、地区の実態に即した「人・農地プラン」策定に向けた準備を進めている。昨年7月には、遊休農地解消に向けた先進的な活動を行っている千葉県香取市農業委員会への視察研修を実施。地域ごとの営農状況に即したプランの策定や、県・市との連携を図りながらの話し合いの展開など、担い手への利用集積推進に向けた農業委員会活動の優良事例を学んだ。

農地パトロールによる状況確認をする委員たち

 その後、町内の実態把握のため、地区ごとに担当の農業委員・推進委員に分かれて農地パトロールを行い、各地区の農地利用の現況を調査した。
 そのうえで戸別訪問を実施し、今後の農業経営の利用意向について調査・情報収集に努めている。収集した情報は、年2回合同会議を開いて担当地区班ごとに報告し、共有化を図っている。意向調査の結果は現在事務局職員が集計中で、プラン策定の話し合いで資料として活用できるように分析も行っている。
 同委員会の情報は内部共有だけでなく、外部発信も行っている。同委員会内に設置した情報編集委員9人によって編集された「農業委員会だより」を管内農家に配布して活動・実績を報告している。

 現在は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、プランの話し合いが実施できないため、その進め方の検討を行っている。現段階では推進委員が地域を代表して話し合いをリードするとともに、農業委員がオブザーバーとして各地域の話し合いに参加することを想定している。同町産業課などの関係部署や関係団体も含めて、回数や方法を検討するなど着実な準備が進められており、今後の同委員会の活躍が期待されている。