“守るべき農地荒廃”有効活用へ 広島県農業会議

 広島県農業会議では毎年、農地パトロールが始まる8月までに農地利用状況調査研修会を開催している。

7月21日に開かれた研修会の様子

 この研修会は、2015年9月の農業委員会法改正により、農業委員会の必須事務に農地利用の最適化が加わったことや遊休農地への固定資産税課税の強化を受け、翌2016年7月から毎年行っている。
 特に遊休農地の判断については、調査する委員などの経験や識見による判断のばらつきが生じる懸念がある。こうしたことを防ぐための基準を整えるなど、公平・平等性を確保する研修として好評を得ている。
 この研修会で使用する遊休農地の写真は、市町農業委員会からの提供や農業会議職員が撮影した実際の現地の状況写真を使用している。
 耕作地、不作付地、1号遊休農地(A分類)、2号遊休農地、B分類それぞれの判断を5~6人のグループで話し合い、意見を統一。グループごとの判断に至った理由を発表しあい、遊休農地判断に至るポイントの共有化・統一化を図っている。

事前に資料を配布し、参加者個人ごとの判断を集計

 また昨年から、全国農地ナビのフェーズ2システムやグーグルマップなどから、遊休農地周辺の状況も確認し「守るべき農地」か否かについての判断も研修に加えた。
 本年度は新型コロナウイルス感染症対策として3密を避けるため、グループ討議ではなく事前に資料を配布し、参加者個人ごとの判断を集計する方法にした。結果、昨年までのグループ討議で判断する方法よりも再生利用が不可能な農地(B分類)と判断する率が高くなった。
 2018年の荒廃農地調査結果では、全国で27万9970ヘクタールの荒廃農地が報告されている。そのうち32.7%の9万1524ヘクタールが再生利用が可能な農地となっている。一方、広島県では8254ヘクタールの荒廃農地のうち8.3%にあたる686ヘクタールが再生利用可能な農地であると報告されており、その割合が少ないのが特徴となっている。
 広島県農業会議では、これからも農地利用の最適化の第一歩である農地利用状況調査の適正な実施をはじめ、それに伴う遊休農地の判断基準や守るべき農地のゾーニング手法を横展開するなどの支援を行うこととしている。