人・農地プラン策定に積極参加 三重・津市農業委員会 辻 賀正推進委員

 津市農業委員会(守山孝之会長)では、農地利用の最適化が円滑に実施できるよう24人の農業委員と86人の農地利用最適化推進委員を設置し、両委員が連携して人・農地プランの実質化に向けて取り組んでいる。この中で、独自のアンケート調査や話し合いのリードを行う推進委員の事例を紹介する。

中央が辻さん。左右の2人は東睦合集落の中心経営体に位置づけられている                          

 「自分たちの農地は自分たちで守らなければいけない」と話す推進委員の辻賀正さん(68)は、担当地区である大里睦合町と大里小野田町の人・農地プランの策定に積極的に参画。アンケートによる意向把握を行うとともに話し合いのコーディネーター役を務めるなど、プランの策定と実質化に向けた取り組みをリードしている。
 東睦合集落と西睦合集落からなる大里睦合町と、その隣の大里小野田町は、高齢化により農業経営をリタイアする担い手も年々増えている。農地の受け手を探すために辻さんのもとへ相談に訪れる人も多い。

 推進委員として現在2期目の辻さんは、日頃から地区内を回って担い手の意向把握に努めている。また、遊休農地があれば自ら地権者に連絡を取り、荒廃する前に担い手へつなげる。
 そのような中、「農地を守っていくためには個々に動くだけでなく、今後の農地のあり方を地区全体で話し合う必要がある」と考えた辻さんは、2016年からプラン策定への積極的な参画を始めた。
 策定に取り組んだ最初のプランは、辻さんが住む東睦合集落。農地中間管理機構に相談し、現在の経営状況や農地の利用意向、後継者の有無など約30項目を調査するアンケート用紙を用意した。
 アンケートの配布と回収は、辻さん自身が1軒ずつ回って行い、プラン策定の必要性を丁寧に説明することで全員の回答を得ることができた。

 集落内の話し合いでも辻さんがコーディネーター役を務め、アンケート結果をもとに集落の現状を説明。結果、2人の中心経営体を位置づけたプランが完成し、集落内農地の3割にあたる約11ヘクタールを集積した。
 今年は、西睦合集落や大里小野田集落でもプラン策定に向けての活動を開始。すでに両集落でアンケートの配布・回収が完了している。今後は市と相談し、アンケート結果の地図化と話し合いによりプランの策定と実質化を本格的に進めていく。
 辻さんは「自分一人の力には限界がある。今後は農業委員会事務局や市との連携をより強化し、プランの策定と実質化に貢献するとともに、プランをもとに自分たちの農地を耕せる状態で次の世代に託したい」と話している。