後継者対策や遊休農地対策を重点に 山口・萩市農業委員会

 萩市は山口県内屈指の農業振興地域に位置付けられており、最近では「酒造好適米」「飼料用米」などの生産も拡大している。地域の後継者問題や遊休農地対策などが課題となっている中、同市農業委員会(片岡兼雄会長)の取り組みを紹介する。

人・農地プランを話し合うみなさん

 同委員会では、新制度に移行した最初の任期中である2018年から、農業委員・農地利用最適化推進委員が担当地区で「農地と営農に関するアンケート調査」を実施している。
 アンケート調査の結果を基に、地図上に年齢と後継者の有無を落とした図面を作成し、人・農地プランの話し合いの場で活用している。今後、後継者のいない農家が増加することが明確な地図となった。
 アンケートの中間集計では、回答数1962戸のうち「農業後継者あり」と回答した農家は289戸と約15%にとどまっている。アンケートの意見には、「1、2年先まで耕作できるかわからない」「私の代で農業は終わり」などという農家の声が多かった。
 これを受けて同委員会は、60~70歳代のUターン希望者を募るため、地元選出の国会議員に同市に定住するまでの費用負担などの施策を提案している。「定年退職を契機に生まれ育った萩市に戻ってくれば、地域が元気になる。コミュニティー活動や農地の活用などを含めて地域一丸となって支援したい」と片岡会長は熱く語る。
 また、萩市農政課では農業後継者の育成に取り組むため、2020年度新規事業として「セカンドキャリア就農支援事業」を創設。定年帰農などで新たに農業を始める人を支援することとしている。

オリーブ植栽前の耕作放棄地だった農地
オリーブを植栽した農地

 萩市平蕨台地区では、87ヘクタールの圃場整備が完了しているが、水稲と野菜栽培を継続してきた農事組合法人が経営規模を縮小したことにより、耕作放棄地が増大することが懸念されていた。
 ここにオリーブ栽培の実績のある県外企業が約1万3千本の栽培事業を計画。2018年5月に38ヘクタールの農地法第3条許可申請が農業委員会に出された。
 同委員会では、申請面積が大きいことや、過去にオリーブ栽培の例もなかったことから、兵庫県淡路市における同企業の営農状況を確認。地元の農業委員会や土地改良区から詳細を聴き取り、現地調査も実施した結果、オリーブ栽培を着実に実施していることが確認できた。農地が有効に利用されて地域の活性化にもつながっており、現在は61ヘクタールにまで活用が進んでいる。