担当委員の熱い思い地域に伝わって成果 千葉・香取市農業委員会 髙松多可史農業委員

 千葉県香取市では、地域の営農状況に即した「人・農地プラン」の策定をめざし、地区担当の農業委員や農地利用最適化推進委員が地域の懇談会に出向いて地域の農家の声を直接聞いた。その結果、担い手への利用集積が飛躍的に進み、61プランが策定され、現在も多くの地区で策定に向け活動している。

髙松農業委員(写真中央)と地酒「夢遥」の市内関係者

 同市農業委員会(伊藤寛会長)の髙松多可史農業委員(70)は2016年度に農業委員に就任し、現在2期(5年)目を迎える。
 農業委員に就任する以前から「地元に貢献したい」という思いが強く、地元の米を地元老舗酒蔵や市内関係者と連携して、こだわりの地酒「夢遥(ゆめはるか)」を造ったり、小学校と連携して田植え体験を指導したりと地元に貢献してきた。

法人化検討会で話し合うみなさん

 髙松さんは農業委員になったのをきっかけに、将来の子供たちに地元の魅力的な農業環境を残せるように、人・農地プランの策定に意欲的に活動した。
 まずは、市内他地域の事例を参考に地域での話し合い活動の場を設けるために髙松さんの担当地区の農家に暇を見つけては訪問。個々にアンケート調査と農業への熱い思いをぶつけた。
 当初は思うように理解が得られず苦労したが、継続的に何回も訪問を繰り返した。相手の心を開くため、プライベートな時間を割き、時には盃を交わしながら、地域の農家と本気でぶつかってきた。熱い思いが伝わり、地域での話し合いが実現。担当する地区で多くのプランが策定された。

 また、昨年1月、髙松さんが中心となり、将来の担い手を育成する受け皿、中核的な担い手となる法人として、(株)タカマツを設立した。
 プラン策定当初の地区内の集積面積は12ヘクタールだったが、評判を聞きつけて貸し付け依頼が増え、現在では45ヘクタールまで規模が拡大。予想以上の反響に確かな手ごたえを感じている。
 髙松さんは「現在担当地区6集落のうち5集落でプランが策定された。プランが策定された地域からは補助金申請ができるようになったり、基盤整備事業を活用できるようになったなどの良い反響がある。やってよかった」と目を輝かせる。

伊藤寛会長

 同委員会の伊藤会長は、「人・農地プランは地域農業施策の礎となるもの。ただプランを策定することが目的ではなく、担い手の経営を軌道に乗せ、収益を増やしていけるようにプランを有効活用していくことが重要。プラン策定後も地域農業が発展できるように支援に努めていきたい」と今後の抱負を語った。