アンケート簡素化が奏功 兵庫・市川町農業委員会

 兵庫県市川町農業委員会(長尾重則会長)は、農家が分かりやすく、記入の負担が少ないアンケートを考案。高い回答率を得て「人・農地プラン」の作成を進めている。

「農村を守っていくためには、集落の現状を把握し農家同士の話し合いや声掛けが大切」と話す田作委員(左)と近藤事務局長    

 町と同委員会が農地の所有者・管理者向けに実施した『農地利用の意向アンケート』は、回答者が個人情報を記入する以外は大幅に簡素化して設計した。農地情報については、農地台帳のデータから圃場の所在地や面積を一覧にして印刷・添付し、利用意向などを番号で回答する形式にした。
 回答者が農地の所在地を把握しやすいよう「字」を表記するようにするとともに、文字のサイズも大きくした。回答者の住民コードをアンケートに印字することにより、集計やデータ管理がしやすいよう工夫もしているという。

 地域の農業委員・農地利用最適化推進委員と自治会の協議員らが個別に配布して依頼するなどした結果、回答率は8割から9割ほどになり、昨年は3地区で人・農地プランが作成された。
 昨年、川辺南地区のプラン作成に関わった田作美紀委員は、「農家にも分かりやすく作られている。代替わりの後、名義変更されていない農地も多くあるが、所有者らが改めて農地を把握するきっかけにもなった」と話す。

アンケート用紙

 町と同委員会ではアンケートの結果をもとに、担い手ごと、農地の利用意向ごと、現況ごとの3通りの地図を作成した。この情報を共有することで、各農会長と農業委員・推進委員の連携が深まり、地元で農地の今後について話し合いがしやすくなった。新たに町の補助金を活用するなどして遊休農地が解消された地域もあるという。

 「回答率を高めるため、農家の記入負担をいかに減らすか試行錯誤した。多くの所有者らが『貸したい・売りたい』と回答しており、この農地をどうしていくかがこれからの課題」と同委員会事務局長の近藤準人さんは話している。