女性の委員登用を働きかけ 徳島・藍住町農業委員会 安崎三代子会長

 藍住町は徳島県の中央を流れる吉野川の下流北岸に位置する。吉野川と旧吉野川に囲まれたデルタ地帯で、板野郡のほぼ中央にある。総面積16.27平方キロメートル、海抜は5.17メートルと平坦で山が全くない町だ。肥沃温暖で水利の便が良く、古くは藍の栽培が隆盛を極め、現在は洋ニンジンの産地として広く知られている。

藍住町農業委員会会長の
安崎三代子さん

 「藍住町では、2014年の農業委員改選では女性委員はゼロでしたが、2017年の改選で2人、さらに本年度は4人の女性農業委員が誕生しました。また、吉野川市と並んで県内で2番目に女性会長となりました。多くの方に支えられ、女性の選任が進んだと思います」と話すのは、7月に同町農業委員会会長に就任した安崎三代子さん(57)。
 同委員会は現在、農業委員14人、農地利用最適化推進委員6人で構成され、専業農家の委員の割合が高いのが特徴だ。
 同町では、これまでの慣習により女性の登用がなかなか進まない状況にあったが、町の女性職員の管理職登用に向けた動きをきっかけに、女性の農業委員登用も同時に進んだ。
 女性会長の誕生にあたっては先代の農業委員会会長が尽力した。「藍住で女性会長を誕生させたい」と考え、前体制で安崎会長を副会長に抜てき。準備を進めてきた。
 安崎会長は、「女性の委員登用を進めるため、地元の女性に声掛けして勧めてきました。そのかいもあって、さらに2人の女性の委員への登用が進みました。しかし、登用だけではなく、女性委員だからこそできることを進めていきたいと考えています。そのためにもこれから勉強して、できることを模索していきたい」と笑顔で語る。

町内の農涼祭で新作物研究会の農産物を販売する安崎会長

 安崎会長は経営面積10ヘクタールの農地でニンジンやレストラン向けの野菜を30品目栽培する専業農家で、2年前に農業法人「(株)あんちゃんふぁーむ」を設立。従事者は家族3人と従業員3人、パート3人で、数年後には息子へ経営を継承する予定だ。
 また、安崎会長は洋ニンジンだけに頼らない経営を目指し、「新作物研究会」を立ち上げた。現在会員は40人。同研究会の理念は『産地がないから産地を作る! 産地がないから楽しみだ! 先手必勝先んずれば産地を制す』。
 同研究会では、レストランや消費者に高付加価値で野菜を販売することに取り組み、現在、ネーミングがユニークな「おむすびだいこん」や苦みがなくて生で食べられる「こどもピーマン」などさまざまな野菜を作り、産地づくりに取り組んでいる。