女性農業委員中心にフードドライブ活動 「見える化」活動の一つ 秋田・にかほ市農業委員会

 にかほ市農業委員会(小林豊会長)では、農業委員会活動の見える化の一つとして、2018年度から女性農業委員3人が中心となったフードドライブ活動(いただきものや身近な食料品などをフードバンクを通じて地域の生活困窮者や児童・福祉施設などに寄付する活動)を実施している。

本年度の社協への食品贈呈式(11月10日)
左から、にかほ市社協の齋藤正志地域福祉課長、遠藤豊農業委員会会長職務代理者。右側の女性農業委員の真ん中が齋藤久江委員

 同委員会がこの活動を始めたきっかけは、今から3年前に農業委員の齋藤久江さん(62)が同市の社会福祉協議会(以下、社協)が発行する「福祉だより」の「フードドライブ」に関するお知らせ記事を目にしたことから。
 齋藤さんは、農業委員会活動の「見える化」が言われる中、女性委員だけの小さな取り組みではなく、委員会全体で何か活動ができないか考えていた。
 早速、農業委員・農地利用最適化推進委員が出席した合同総会の場で、委員会として同活動への参加を提案。もともと同委員会では、懇親会の開始と終了の前後30分間は自分の席で出た料理をしっかり食べる「食べきり宣言プロジェクト」を実践するなど、食品ロスに対する認識が高かったこともあり、委員らからも快諾されて取り組みをスタートした。
 同委員会では、毎年1回、新米が出回る11月に各委員から前年産の米や缶詰、乾麺、お菓子、ドリンク類などを集める。委員会内部でも定例行事として浸透しており、今年も11月10日に米154キロをはじめ、さまざまな食品を委員が自らの手で社協へ届けた。また、この取り組みを通じ、委員同士の連帯感も生まれているという。

今年1月15日付の「福祉だより」の一部

 こうした活動は社協の福祉だよりと農業委員会だよりに掲載し、フードドライブ活動や農業委員会活動についての市民へのPR、理解促進に一役買っている。
 齋藤さんは、「にかほ市管内でも年間数世帯の生活困窮家族が利用していて、こうした食品が皆さんへ行き渡ることを願っている。この活動を農業委員会の見える化の一つとして、県農業委員会女性協議会を通じて県内の農業委員会へもその輪を広げていきたい」と話す。
 また、「3年間活動してみて、これからは受け取る側の視点に立った食品の提供に心遣いをすることや、委員以外にも農林関係の市役所職員などへ広く参加を呼びかけ、継続的に多くの食品の確保に努めていきたい」と思いを語った。