人・農地プランの実質化へ 香川・まんのう町農業委員会

 香川県まんのう町では、平地では土地利用型農業が行われており、農地の集積・集約化を進めている。また、中山間地では、過疎化による農業後継者不足や高齢化による労働力の低下が進んで遊休農地の増加が懸念されることから、その発生防止や解消に努めつつ、担い手への農地の集積・集約化に取り組んでいる。

集落座談会を開き担い手と意見交換

 まんのう町農業委員会(今田義則会長)は、2018年7月に新体制に移行し、農業委員19人、農地利用最適化推進委員26人で活動している。同委員会では、2019年10月から「今後の農地利用の意向調査」を実施。調査はほぼ終了し、人・農地プランの実質化に必要となる地図の作製に向けた準備に入っている。
 同調査は県農業会議が推進する「かがわの農地利用最適化推進一斉強化運動」による調査様式などを基に、3439世帯・3万1659筆を対象に、農業委員・推進委員がペアになって戸別訪問により行った。
 すぐに貸したい意向のあった所有者には、農地中間管理機構と連携し、速やかに対応。農業委員、推進委員が間に入って円滑な貸し借りや農地中間管理事業の活用を行うとともに、貸借期間中の農地管理トラブルの防止に努めた。
 こうした活動により、高齢によるリタイアの申し出のあった農業者の耕作面積7ヘクタールを認定農業者に貸し付け、遊休農地の発生防止につながった。また、調査にあたっては、町広報誌「広報まんのう」を通じ、その実施を事前に広く周知するとともに、地区によっては自治会連合会の会合で説明し、意向調査の目的や方策の理解の促進を図った。

農地利用の意向調査にあたっては
町広報誌で実施を事前に広く周知した

 同委員会では、従前から認定農業者や認定新規就農者などの担い手と集落座談会を実施し、農地利用のあり方や地域農業の課題などの意見交換を行っている。
 座談会では、農業委員、推進委員が各担い手からの現状報告を受けた後、今後の農地利用のあり方の話し合いをリードしている。
 「農機具の更新が負担で離農する農家が多い」「未相続農地など貸借できない農地が多数存在する」「条件が悪い田が多く進出しにくい」などが挙げられ、農業者だけでなく、座談会に参加しているJAなどの関係機関との情報共有もなされている。
 同委員会は同町のプランの実質化の推進母体となっている。前記集落座談会での協議・検討を踏まえ、現プランの細分化などを含め、見直しが進んでおり、現在、町内には八つのプランが作成されている。
 同町内でも平野部と中山間地域では特性が異なる。意向調査で得られた結果を有効に活用し、将来の農業のあり方を検討している。条件の良い平野部では農地の集約化を進めるとともに、中山間地は集落営農法人を設立して作業委託を進めるなどの具体的方策を立てていく予定だ。