話し合い活動のスキルアップ目指して 宮崎県農業会議

話しやすい明るい雰囲気の中で開催

 宮崎県農業会議は、県と県農業振興公社と連携し、県内の農業委員・農地利用最適化推進委員や農業委員会事務局、市町村農政担当、農地中間管理機構の職員を対象に、参加者全員が意見を出し合い納得した話し合いが開けるようファシリテーション手法を学ぶ研修会を開催した。

 県内の26市町村では、人・農地プランの実質化や実質化されたプランの具現化に向け取り組んでいる。この取り組みでは特に、地域での話し合いを活性化させ、まとめていくことがポイントとなる。
 一方、話し合いの進行やまとめ役の役割が期待される委員は、昨年7月の委員改選で約3割が入れ替わった。また、話し合いを支える事務局職員は業務多忙に加え人事異動があるなど、十分な体制となっていないのが現状だ。
 そこで農業会議では、委員や関係職員の話し合い活動のスキルアップを目指し、全国農業会議所専門相談員の澤畑佳夫氏を講師に招き、研修会をシリーズで開催した。
 まずは、関係職員約50人を対象に、昨年9月14日にファシリテーションの基礎と活用事例を、11月19日にはワークショップ方式による応用スキルアップの研修を実施。11月18日には委員を対象に「農業者を確保するためには」というテーマでファシリテーション研修を実施した。

ワークショップ研修の様子

 いずれの研修会もコロナ禍ということもあって感染対策を講じた少人数での開催となったが、特に委員のワークショップ研修では、研修が進むにつれ笑顔で意見を出し合い、最後の解決のプレゼンテーションでは共感の相づちや笑い声が聞こえるなど生き生きとした研修となった。また、研修後、委員からは、「地元に帰って実践したい」「うまく取り組めたら地域の意見がまとまりそう」などの意見が出た。
 昨年10月、地元紙に中山間地に位置する高千穂町の農業者から、「人・農地プランの話し合いを進める中で、集落の有志が立ち上がり、『結(ゆい)』の心で集落全員が一つになって受託組合が設立された。米の乾燥施設やコンバインを導入し、うれしい収穫の秋を迎えられた」との投稿が寄せられた。
 今回の研修は、話し合い活動を行う準備段階のものだが、話し合いを通じ、地域住民の意見が反映された地域の未来設計図ができ、高千穂町のような取り組みにつながっていくことが期待される。