「人・農地プランの実質化」達成へラストスパート 山形・酒田市農業委員会

 酒田市農業委員会(五十嵐直太郎会長)では、「今年3月末までに期限が迫っている『人・農地プランの実質化』の達成」に向け、農業委員29人(農地利用最適化推進委員は無し)が積極的に参画し、ラストスパートの取り組みを進めている。

活発な話し合いが行われた人・農地プラン拡大検討会

 酒田市におけるプランの数は全部で16あり、全ての実質化にはまだ道半ばの状況だった。同市では取り組み当初から、全地区を実質化する上で第一に重要なことは、各関係機関と連携できる推進体制を構築することだと考えた。

 そこで2019年度当初から、地区ごとにある「農業振興協議会」や生産組合・JA職員などで構成される「人・農地プラン検討会議」に、地域の取りまとめ役として農業委員が参加して協議を行うことにより、「ワンチーム」で取り組める環境を整備している。
 話し合いに向けたアンケート調査は2019年12月に実施した。その後、未回答者への呼びかけを行って昨年7月には集計が完了。特筆すべきはアンケート回収率の高さだ。16プラン全体の平均では約80%にのぼっており、積極的な活動の成果が表れている。アンケート結果を反映させた地図の作製も11月には全地区で完了している。

 アンケート結果の分析にあたっては、地区ごとの状況が共有できるよう、それぞれのプランごとに分かりやすく特徴を集約した資料を作成。地域での徹底した話し合い活動を実現させるために行った関係者による事前勉強会では、その資料を活用して各地区の課題などを確認した。

 各プランの地域別検討会議については1回目を7月下旬から8月上旬にかけて、2回目を11月下旬から12月上旬にかけて実施した。今年2月には市全体の検討会議を開き、全てが実質化となるよう最終調整段階に入っている。

 五十嵐会長は「人・農地プランを実質化するためには、関係機関との連携が何よりも大切。アンケート調査の実施や地図の作製を行うにしても、現場に精通した意見や情報なくして作業は進まないし、成果を上げることもできない。地域別検討会議を開催する前の7月14日に行った『人・農地プラン拡大検討会』はターニングポイントだった」と話す。
 同市では、本年度の第2四半期までに、623筆140.5ヘクタールが話し合い活動によって集積につながっている。「人・農地プランの実質化」を達成することで地域の農地利用が最適化され、担い手が効率的で持続可能な農業経営を実践できる環境づくりが着々と進められている。