農地を活かし担い手を応援する 地域の農業・農地を考える 新潟・佐渡市農業委員会

重点パトロール年2回実施

 佐渡市農業委員会(堀口一男会長)は8月から10月まで農業委員が担当地区で行う農地利用状況調査のほかに、7月と11月に重点パトロールを行っている。7月12日に行った今年度1回目の農地パトロールでは、佐渡市が抱える課題にスポットを当てた。

 昨年度まで前期は「遊休農地」、後期は「農地転用」とテーマを分けて実施していた。今年度は委員に農地法の判断基準を考えてもらいながらパトロールしようと、事務局がコースを選定した。
 視察した10カ所には「農地法第3条全部効率利用」「農地法の適用を受けない土地の証明」「農地とは、耕作とは」「営農型発電設備」といった内容が随所に盛り込まれ、事務局に法令的な説明を受けながらコースを進んだ。
 また、視察箇所には現在の佐渡市農業や農地の現状、課題が表れていた。
 その一つが住宅に付随する農地の取得だ。全国的に空き家対策が課題となるなか、同市でも少子高齢化や人口の島外流出による空き家が増加する一方、「空き家があれば活用したい」というU・Iターン希望者の声に応え、市も支援策を講じている。
 同市農業委員会は、離農し島内外に転居した場合、優良農地は地域の担い手農業者へ結び付けていく方針だ。
 しかし、住宅に付随する小面積の農地は対応に苦慮していたことから、20アールに設定している農地取得の下限面積とは別に、2014年4月から農地法施行規則第17条第2項の適用により、遊休農地など一定の条件下の農地に限って下限面積を1アールと定めた設定区域に指定して、空き家活用を進めている。今回のパトロールでもIターン希望者が活用を検討している空き家に付随する小区画の農地や、60アールの農地が隣接する空き家に移住した新規就農者の農地をコースに盛り込んだ。
 パトロールの翌々日、7月14、15の両日、同市を会場に第22回全国棚田(千枚田)サミットが開催された。その現地視察先となった岩首棚田をパトロールでも視察。きれいに管理された棚田を見ながら「条件の悪いところで頑張っているのだから、もっと条件の良いところはしっかりと頑張ってくれ」と岩首地区の担当農業委員は訴えていた。

写真上=新規就農者の農地を確認する農業委員

写真下=棚田サミットの視察先の一つになった岩首棚田