委員間で情報共有して遊休農地対策を横展開 石川・白山市農業委員会

 白山市農業委員会(竹山武志会長)では、市内の農地を10年後、20年後も守っていけるよう、地域ごとの現状や課題を協議している。特に担い手の高齢化や営農条件の不利による遊休農地の発生や鳥獣被害などの課題をかかえる山麓・中山間地域の事例をモデルに、委員間で情報を共有しながら対策の横展開を図っている。

農業委員らによる現地調査(相滝集落)
下吉谷地域での話し合い

 白山市農業委員会は2017年3月に新制度へ移行。農業委員18人、農地利用最適化推進委員10人で活動し、昨年3月には2度目の改選を迎えた。
 日本海から白山麓まで広域にわたる同市は、「人・農地プラン」を八つ設定し、33の営農区域に分けて農地利用の最適化を進めている。
 平坦地では圃場整備が進み、集積も進んでいる。認定農業者などの受け手も多い。一方、中山間地域は営農条件が悪く、担い手の高齢化も進んでいる。同委員会では、どのような活動ができるのか、より地域にあった活動や議論ができるよう、委員を白山麓・中山間地グループと二つの平坦地グループの3グループに分け、総会終了後に地域の現状や課題を話し合ってきた。
 白山麓・中山間地では遊休農地の解消が課題にあがり、昨年度、同地域の委員4人が遊休農地・荒廃農地の状況確認を実施した。
 また、昨年10月には圃場整備を進める相滝集落で遊休農地の扱いが課題となったことから、地区の役員と現地を確認し、守るべき農地の範囲と非農地判断について協議した。現地調査には中山間地域を担当している5人の委員が参加。今後も同様の事例で非農地の判断が必要となることを想定し、情報共有を図った。
 同委員会では同集落をモデルに、今後も必要に応じて非農地判断・非農地通知の発出を行うなど、遊休農地対策に努めていく予定だ。

 同じく中山間地域にある下吉谷地域では、今年から工事が始まる圃場整備を契機に集落営農の法人化を進めている。同地域では農業委員でもある認定農業者と19戸の農家が営農。高齢化や用排水路の劣化などが進む中、農地をどう守っていくか集落での話し合いを重ねた。
 話し合いは町内会長を中心に農業委員、地区の役員などで進められた。2016年には「地域で農地を守る」という町内会長の熱意に賛同が得られ、圃場整備の導入が決まった。その後も数十回の話し合いを重ね、集落営農組織を立ち上げて認定農業者とともに農地を守っていくこととした。
 本年度は、法人化の研修会や農地の利用調整と役割分担などについて、月1回のペースで定期的に話し合いを続けている。