人・農地プラン実質化を推進 鹿児島・屋久島町農業委員会

 世界遺産の島として有名な屋久島町では、農業委員会(鎌田秀久会長)が今年3月までの人・農地プラン実質化・公表に向け、農政担当との緊密な連携のもと、農業委員14人、農地利用最適化推進委員10人が各担当地区で農地所有者の意向確認、地域での話し合いへの参加などに取り組み、実質化推進に大きな役割を果たしている。

屋久島町農業委員会の鎌田会長(中央)
事務局のみなさん

 同町農業委員会では、2018年度より、町内在住のすべての農地所有者の貸借の意向確認に取り組んでいた。これは、鹿児島県内の全農業委員会で取り組んでいる「鹿児島の農地『貸したい』『借りたい』総点検」として開始したもので、2019年11月からは人・農地プラン実質化のためのアンケート調査として位置づけている。
 この意向確認の対象は、農業委員会の農地台帳に記載されている町内在住の農家1425戸。精度の高い意向確認とするため、委員が1軒ずつ戸別訪問し、昨年3月までに98%に当たる1396戸の意向を聞き取った。
 回収率がこのように極めて高くなった要因について、鎌田会長は「とにかく、委員の努力があった。また、委員によっては自治公民館組織の区長や近隣農家からも情報を得るなど工夫していた」と話す。加えて、事務局が名簿や地図を整理して委員に提供したことも大きい。さらに、意向確認の状況について、委員4~5人で構成する班会や総会の場で情報共有や進捗状況の確認も行った。

地図を見ながらの話し合い(平野地区)

 地域での話し合いは、町内24カ所で昨年7月より今年の1月まで順次開催された。現在の年齢別、10年後の年齢別、後継者の有無、貸借意向の4種類の地図が提示されるとともに、アンケート結果の説明や農地中間管理事業のリーフレットの配布・説明なども行われた。委員は、自らが意向確認を行った地区の話し合いに参加し、助言や事例紹介などを行った。また、鎌田会長は全地区に参加し、意見が円滑に取りまとめられるようアドバイスなどを行った。
 このように農業委員・推進委員が担うべき役割を十分に果たせたのは、2019年の人・農地プラン実質化の取り組みの開始に当たり、農政担当からの十分な説明と具体的な協力内容の依頼があったことも大きい。地域での話し合いの開催前には、委員の役割や話し合いの進め方などについての研修会も行った。
 今後も関係者との連携のもと、実質化したプランを核とした担い手への農地集積など、農地利用最適化活動に期待が集まる。