農地利用最適化で会報誌創刊 福島市農業委員会

 福島市農業委員会(宍戸薫会長)では、これまで発行してきた「福島市農業委員会報」とは別に、昨年12月に新たな会報誌を創刊した。市民向けの「ミエ~ル通信」と、農業委員・農地利用最適化推進委員向けの「ミエ~ル通信+(プラス)」の大きな特徴は、農地利用の最適化に特化した内容であることだ。

「みえ~る通信」を手にする宍戸会長(左)と、
オリジナルキャラクター「んだんだぱんだ」を掲げる大内副主査

 ミエ~ル通信+は、農業委員・推進委員に電子メールで配信される年4回発行の会報誌だ。農業委員・推進委員の農地等の利用の最適化に向けた活動の実例と活動状況のデータで全体の活動が「見える化」されており、委員からは「とても参考になる」と好評だ。
 創刊の目的は改選対策だった。福島市では昨年7月の改選で3分の1の委員が交代。前任委員が積み上げてきた知識や経験を新任委員に引き継ぐ方法を検討する中で、毎月委員から提出される活動記録簿に注目。それまで農地利用最適化交付金の算出に使っていた情報を有効活用し、委員向け会報誌として作成したのがミエ~ル通信+だ。
 農地等の利用の最適化に向けた活動は非常に幅が広いため、特に新任委員にとっては何をしたらいいのかイメージしにくい部分がある。そこで、活動の参考になるよう「出し手の農地を確認し、話し合いを行った」「新規就農後の技術指導をした」など、委員が活動記録簿に書いた具体的な活動内容の紹介に力を入れるようにしている。他の委員の活動を知ることで「実績の数字ばかり考えていたが、身近なできることから始めてみよう」という意識変化が新任以外の委員にも起こり始めているという。
 「毎月配布する資料がたくさんある中でも目立つように工夫しました」と話すのは、作成を担当する大内英恵副主査。カラフルな色使いやオリジナルキャラクターを登場させるなど見た目にこだわる他、気軽に読んでもらえるようコンパクトに内容をまとめている。

 当初、事務局では委員向けのみの発行を考えていたが、委員からの「一般の農業者に農業委員会の農地等の利用の最適化活動が知られていないのではないか」という声を受け、市民向けのミエ~ル通信も同時に創刊。活動紹介に加えて農地等の利用の最適化の解説をすることで、「農業のことで困ったら農業委員・推進委員に相談する」というイメージを広めている。
 高橋善則事務局長は「SNSなどICT技術を活用して、さらに多くの市民に農業委員会の活動を知ってもらいたい」と今後の展望を語る。事務局では会報誌をきっかけとした市民からの相談と委員の積極的な活動の相乗効果に期待している。