FRONT LINE 温暖化逆手に国内唯一の産地形成 愛媛・宇和島市 JAえひめ南ブラッドオレンジ栽培部会

 日本有数の温州ミカン産地である愛媛県宇和島市。JAえひめ南ブラッドオレンジ栽培部会が温暖化を逆手に取り、国内で唯一のブラッドオレンジ産地を形成している。現在、生産者は約300人で、生産量は300トンを超えるまでになった。新鮮で高品質な国産を付加価値にして、首都圏を中心にファンを増やしている。

「鳥対策のネットは欠かせない」と話す児玉部会長

 ブラッドオレンジは、真っ赤な果肉が特徴の柑橘。アントシアニン色素を豊富に含み「血みかん」という意味からその名がついた。イタリアのシチリア島が原産で、栽培適温は18度と温州ミカンより2度高い。同栽培部会では食味がよく皮が薄くて食べやすい晩生の「タロッコ」と、小玉だが濃い赤みが特徴で加工にも向く「モロ」の2種類を作っている。
 栽培が始まったきっかけは1970年代にさかのぼる。温州ミカンの価格が下落し、県がレモンやライム、ネーブルなどさまざまな品種の導入を検討。中にタロッコも含まれていたが、当時は気温が足りずうまく育たなかった。
 その後、同市の平均気温は約1度上昇。2004年に県試験場の提案で、現在、同部会の部会長を務める児玉恵さん(54)らが試験栽培を始めた。児玉部会長は「苦労したのはきれいな赤みを出すこと。県やJAとの連携で、果実の糖度を高くし、一般的な品種より土壌を少し酸性にした方がいいことがわかった。かいよう病と鳥獣害対策も欠かせない」とポイントを話す。
 2009年に同栽培部会の前身の「ブラッドオレンジ栽培研究会」を設立し、翌年にはJAが苗木を1万本生産。価格が、温州ミカンに比べ約2倍と良かったこともあり、生産者も増えた。現在、タロッコが19.5ヘクタール、モロは約13ヘクタールに広がっている。

 導入の大きなメリットが労力とリスクの分散。児玉部会長は、温州ミカン(収穫期:9月下旬~12月)、ポンカン(同11~1月)、河内晩柑(同5月)など8種類を栽培する間にタロッコ(同3~5月)、モロ(同2~3月)を挟んでいる。柑橘栽培3ヘクタールのうち、30アールがブラッドオレンジだ。
 JAえひめ南の大加田聖司指導員は「この地域は作期分散のため、さまざまな品種を作っていることも特徴の一つ。品種の効果的な組み合わせなどを見極めていきたい」と話す。