FRONT LINE 地域農業リードする教育ファーム 三重・松阪市 松阪農業公園ベルファーム

 市民が農に親しむ場として、地産地消や食育をテーマにさまざまな活動を行う三重県松阪市の松阪農業公園ベルファーム。親子で作物の栽培と食べ方を体験する教育ファームが、新たな特産化や伝統野菜の復活など、地域農業を巻き込んだ展開を見せている。

焼き芋は農家市場の人気商品

 ベルファームは23ヘクタールの敷地に庭園「イングリッシュガーデン」や体験農場、農産加工や料理の体験施設、農産物直売所、レストランなどがある体験交流施設。JAや森林組合、スローライフ協会、地銀などが連携して設立した(株)松阪協働ファームが、指定管理者として運営している。
 一時は来園者数が伸び悩んだが、有料だった庭園の無料化や直売所「農家市場」の開設、会員制の導入などの改革で、県内外から年間約60万人が訪れる人気スポットになった。
 大きな広がりを見せているのが、2013年から取り組んでいる教育ファーム事業だ。毎年、大豆やジャガイモ、カレー用米など作物を決め、約半年間、延べ6回のコースで栽培と加工や料理を体験する。農研機構や種苗会社などの専門家を招き、農産物出荷組織のベル農会(会員252人)や野菜ソムリエ協会が協力している。
 教育ファームをきっかけに地元産大豆を使ったみそづくり体験や、伝統野菜の「松阪赤菜」が復活して栽培・加工グループ「紅工房」が直売所の厨房(ちゅうぼう)に入るなど、地域の農業にも好影響が出ている。

 特に大きな広がりを見せているのが、2015年に取り上げたサツマイモだ。地元で栽培されていた紅あずまに加え、紅はるかとシルクスイートを栽培。収穫物は市のイベントや農家市場でも販売して、客の反応などの情報を収集した。農家市場には焼き芋機を設置し、焼きたてを販売した。
 反応がよかったことから、ベル農会にサツマイモ部会が発足。2016、2017年は紅はるかとシルクスイートで栽培や保管、加工の問題点などを探った。収穫時の傷を自然治癒させるキュアリング倉庫も導入した。