高齢化で注目 単為結果性品種

 高齢化で農作業の効率化が求められ、主要野菜で受粉作業がいらない単為結果性品種の導入が進んでいる。着果を促進するホルモン処理には多くの作業時間を要する。受粉用の訪花昆虫であるハチは高温や低温では活動が鈍くなり、ハチへの影響から病害虫防除の薬剤も制約される。このため研究機関や種苗会社が相次いで開発。課題だった品質面も改善され、市場の評価も高い。

河内さん(左)と宇佐見主任。河内さんは次の単為結果性品種の開発にも協力                 

 九州で単為結果性品種の導入が急増している。タキイ種苗(京都市)の長ナス「筑陽」が普及していたが、2017年に単為結果性でトゲがない「PC筑陽」が販売されると各産地が注目。同社によると、3年で約8割が切り替わった。
 高知県に次ぐ全国2位のナス産地の熊本県でも、今期は80%がPC筑陽。着果数が多いなどで2割は従来品種だが、県農産園芸課は「栽培技術で克服できておりさらに増える」と話す。

 独自品種の開発・普及に力を入れるのが愛知県だ。県農業総合試験場は農研機構と共同で、2011年に単為結果性とトゲなし性を併せ持つ「とげなし輝楽」(JAは「とげなし美茄子(ビーナス)」で販売)を品種登録した。長卵形で果皮はつやがよく少し硬い。総収量は「千両」(タキイ)より劣るが上物率が高い。
 同県では今期、冬春ナスの作付面積の50%がとげなし輝楽。単為結果性品種は全体で60%を占める。同試験場の宇佐見仁主任は「単為結果性品種の面積は今後も増える」と話す。
 主要産地の西三河促成なす部会では、部会員の85%がとげなし輝楽を導入している。24アールのハウスで栽培する岡崎市の河内孝紀さん(45)は6年前にとげなし輝楽に切り替え「一番大変だった受粉作業がなくなった」と喜ぶ。当初は着果するか不安で初期にホルモン処理、後期にマルハナバチを併用したが、ハチは3年目からやめた。「コストダウンの効果も大きい」と話す。

 愛知県はトマトでも開発・普及に力を入れる。これまで3品種を登録し、現在2品種がいずれも1ヘクタールほど栽培されている。
 2005年に品種登録した「あいさか2号」(商品名=ルネッサンス)はサカタのタネ(横浜市)との共同開発。食味はいいが、果重が160~180グラムと市場流通で主流の200~230グラムより小ぶりで、総収量が少ないことが課題だ。
 果実を大きくし、需要が伸びている外食や加工に向く品種として2016年に登録されたのが「サンドパル」。200グラム程度でゼリー部が落ちにくく、液だれが少ないため、サンドイッチなどの用途に向く。糖度が高いが、果色が朱色に近い赤で共同出荷に向かないため、個々の取引で販売されている。同試験場の加藤政司主任研究員は「買い手が理解しないと普及が難しい」と話す。単為結果性は種子が少ないため、種苗の生産性も課題だ。