企業参入のススメカタ(5) 地域農業の10年後見据えて 大分市農業委員会 農地利用最適化推進委員 山﨑 正則さん

 大分市の判田地区で農地利用最適化推進委員をしている山﨑正則さん(74)が企業の農業参入を後押しした。荒廃が進んでいた上判田米良地区の農地を所有者の同意を取り付け、面的に集積。市や農地中間管理機構と協力し担い手を公募した。現在、二つの企業が耕作を始めている。
 山﨑さんは取り組みのきっかけを「集落が健全な姿で維持できるよう5年後、10年後のことを考えた」と振り返る。同地区は台地に位置する5.3ヘクタールの水田地帯。10アール以下の圃場が多く、高齢化に伴って遊休農地が増えていた。また、熊本地震で水路の一部が壊れたため、畑地として利用する担い手の確保も必要だった。

サツマイモ「紅はるか」を作付けている集積した農地の前で(山﨑さん) 


 担い手の確保に向け、2017年8月に「人・農地プラン」の策定に向けた話し合いを始めた。担い手を募集しやすいよう、農地所有者に協力を求めた結果、農地中間管理機構を通じて3.9ヘクタールを面的に集積できた。貸し出しを渋る人もいたが、同集落に住み、農業委員を4期12年務めた山﨑さんは集落での信頼が厚い。地道に協力を求めて回ったことも大きかった。
 受け手の募集にあたり、新規参入企業も念頭に公募することにした。初の試みで集まるか不安だったが、4者から手が挙がった。最終的には法人2社が地元代表者の前でプレゼンテーションを実施するなどして、受け手を決めた。
 2社のうち1社は新規参入の企業。JA全農おおいたのパートナー企業で、農業労働力支援をしている(株)菜果野(なかや)アグリ。同地区の約1.1ヘクタールでキャベツなどの栽培を始めた。参入のきっかけは、同市発祥の料理「にら豚」。豚肉と特産のニラ、キャベツをしょうゆベースで炒める料理だ。地元JAがさらなる普及のため、地元産キャベツを提供しようと全農に相談し、全農が同社に話を持ちかけた。
 もう1社は2017年に農業参入した(株)ふるさと館。市内の約5ヘクタールの農地を借り受け、社会福祉法人と農福連携により高菜などの生産に取り組んでいた。加工施設も所有し、漬物用に加工販売も行っている。連携をさらに広げようと同地区で約2.7ヘクタールを借り受け、高菜をはじめ水稲やサツマイモの栽培を始めた。
 「地産地消や農福連携に取り組むいい企業が入ってくれた。経営が安定して継続できるようフォローしていきたい」と山﨑さん。繁忙期の草刈りや栽培技術の指導などを地域で支援している。住人からは新たな貸し付け希望も出てきた。2社を中心に担い手を募集し、残りの1.4ヘクタールを集積していきたい考えだ。 


 同市農業委員会事務局も「地区内の水利を整備して、施設園芸にも取り組めれば、企業もさらに入りやすくなる」と協力を続ける構え。この取り組みをモデル地区に、他地区にもこの動きを広げていきたいと考えている。