守るべき農地を明確化 農年加入推進も精力的 石川・七尾市農業委員会

 七尾市農業委員会(坂井助光会長、農業委員18人、農地利用最適化推進委員22人)では、本年度から山間部を中心に非農地判断への取り組みを強化する他、農業者年金の加入推進にも精力的に取り組んでいる。

非農地化の状況を現地調査する担当委員

 同市は能登半島の中ほどに位置し、農地の9割を水田が占めている。中山間地域では高齢化と担い手不足に加えて鳥獣被害の影響で耕作放棄地が増加しており、特に山間部では山林化した農地も多い。
 このような中、同委員会は「守るべき農地」を明確化するため、本年度から非農地判断の取り組みを強化。一帯が山林化するなど、再生利用が困難な農地については非農地と判断する取り組みを進めている。
 同委員会では、これまで実施した農地パトロールの結果から「農地・非農地判断対象地リスト」を作成した。これをもとに地区担当委員や町会、生産組合などと協議し、現地調査を実施。地区担当を含む複数の推進委員と事務局職員が現地の写真を撮影したり、撮影地点などを地図に記録して現状を把握する。
 現地調査の結果、非農地判断が妥当とされる農地については所有者に非農地判断を行う旨を事前に通知。拒む場合は農地を適正に管理するよう指導している。
 現地調査の結果は総会で審議・判断し、非農地通知を発出する。所有者などが同意書を提出した場合は、市長が一括して法務局に登記地目変更の申し出を行う。
 現地調査は今年8月から本格的にスタート。舟尾町の約100筆を調査し、11月の総会で102筆、0.6ヘクタールが非農地判断された。10月には中島町瀬嵐、11月には能登島二穴町で現地調査が行われており、順次非農地判断がされる予定だ。
 同委員会では今後も毎月の調査地区を選定し、月に100筆を目標に市内全域で非農地判断のための現地調査を予定している。

担当者を交えた農業者年金制度研修会
(中央左・橋本委員、右・山本委員)

 同委員会では農業者年金の加入推進部長と副部長を設置し、農業委員・推進委員が地域の農業者に加入を働きかけている。
 加入推進部長の橋本良子さん、副部長の山本正秋さんは昨年度にそれぞれ就任した。まずは自分が制度を知る必要があると感じ、就任直後に農業委員会とJAの担当者を交えた研修会を開いた。加入要件を満たす山本さんはその場で加入し、現在は加入者の立場でも推進にあたっている。
 加入推進では両委員が中心となって戸別訪問を重ね、興味を持った農業者には改めて説明を行い、加入に結び付けている。「説明する側の知識を向上させたことで、納得、安心して加入してもらえる」と手ごたえを感じる橋本委員。今後はまだ制度を知らない若い農業者に加入の必要性を呼びかけ、推進を図る予定だ。