関係機関と一丸で遊休農地解消 和歌山・田辺市農業委員会

 田辺市農業委員会(瀧本和明会長)では、県農業公社(農地中間管理機構)やJA、同市農業振興課などの関係機関・団体と連携し、県の事業などを活用した遊休農地解消に取り組んでいる。

農業委員らの活動により、遊休農地(下)
果樹を改植できる状況まで復旧した
(上)

 和歌山県では昨年度、県独自事業として「和歌山版遊休農地リフォーム化支援事業」を創設した。県農業公社が事業主体となり、一定の条件を満たす遊休農地の貸し付け・売買を行う場合、公社がその解消や復旧を行うものだ。
 遊休農地の解消と担い手への農地集約を一体的に促進するのがねらいで、草刈りや灌木伐採などの解消作業は県農業公社が受け手農家や業者に依頼して行う。付帯設備の修復なども可能であり、上限額の範囲内で経費を支払う仕組みになっている。
 同事業の対象となるのは、農業委員会が遊休農地であると判断した農地のうちで、園芸農業で活用される見込みのある農地だ。畑地や樹園地などの農地の属性や傾斜度、遊休化の程度に応じて、補助の有無や上限額を決定する。
 昨年度は県内全域で37筆、約5ヘクタールの遊休農地が同事業を活用して解消された。そのうちの8筆、1.4ヘクタールが田辺市の農地だった。これは県内トップの活用実績となった。
 同市では本年度、19筆、約4.1ヘクタールの事業活用を見込んいる。昨年度と比べて倍以上の遊休農地の解消が実現できる見通しだ。

 同事業は、近隣地域の農業委員会や市町、JA、県振興局などで構成する紀南地域農地活用協議会の取り組みが基盤となっている。同協議会ではJAを中心に農地の出し手・受け手間のマッチングなどの利用調整を行い、農地中間管理事業に結び付けている。同事業はこの一環として進められているものだ。
 農業委員や農地利用最適化推進委員は、地域の農業者への同事業のPR、問い合わせ対応や案件の橋渡し、現場確認などの業務を担っている。
 瀧本会長は「農地を農地として担い手につなげるのが理想だが、どうしても遊休化してしまう農地が出てくる。この事業を通じて遊休農地を再生させていくことは、農地の流動化をさらに後押ししてくれると実感している。新規就農者の確保にも有効だと思う。今後も関係団体と連携しながら推進していきたい」と話している。