所有者の意向をしっかり把握 鹿児島・肝付町農業委員会

 肝付町農業委員会(鶴岡和喜会長)では、町内を16地区に分けて農業委員、農地利用最適化推進委員を各地区に1人ずつ配置。2人一組で担当地区における農地所有者の利用意向の確認に取り組み、担い手への農地利用の集積・集約化の推進に大きな役割を果たしている。

地域での話し合い

 同町農業委員会では、2018年度より、10アール以上の農地を所有する農家2553戸を対象に、農地利用の意向確認に取り組んでいる。
 これは、2016年の農業委員会法改正で農業委員会の主たる業務となった農地利用の最適化の具体的な取り組みとして、県内の全農業委員会で実施する「鹿児島の農地『貸したい』『借りたい』総点検」の一環として開始したもの。その中でもとりわけ、担い手への農地集積・集約化を推進に力を入れている。
 精度の高い意向確認とするため、農業委員会だよりで町民に周知した上で、戸別訪問による意向確認を実施した。実施あたっては各町内会長の協力を求め、昨年3月までに調査対象農家の74%に当たる1898戸から聞き取りを取った。
 確認調査で規模縮小の意向があった農家については、一度目の確認で収集した情報をもとに二度目の戸別訪問を行い、筆別に具体的に希望する時期や条件などの深掘り調査を行った。

情報をもとに作成した地図を手にする鶴岡会長(左)
福園幸雄会長職務代理

 総点検で得られた情報は農家ごとに整理。人・農地プランの実質化に向けた地域での話し合いの基礎資料として、関係機関に提供した。また、得られた情報は地図に落とし込み、地域の話し合いの場で活用した。その際、農業委員と推進委員は自らが意向確認を行った地区の話し合いに参加し、助言などを行った。
 これらの取り組みにより同町では、圃場整備実施予定区域内で貸し出し意向のあった農地約2.4ヘクタールを担い手に集積した。また、換地を行う際の農地集約も進めている。
 鶴岡会長は、「農家の意向をしっかりと把握することは、担い手への農地集積・集約化を進めるうえで最も重要。狭小地や山間地など条件の悪い農地を貸したい、または売りたいという意向は多いが、すぐにマッチングにはつながらないケースが多いのが現状。引き続き農家の意向を着実に把握し、農地の集積・集約化を進めたい」と話す。
 関係者と連携のもと、今後の一層の農地利用の最適化に向けた気運が高まっている。