課題把握・解決へ「区域部会」設置 秋田市農業委員会

 秋田市農業委員会(佐々木吉秋会長)は、市内を5区域に分けた「農地利用最適化区域部会(以下、区域部会)」を設置。農地の利用調整を始めとした諸課題の把握と解決に取り組んでいる。現地調査などではタブレット型端末の活用も進めている。

 区域部会は、農業委員と農地利用最適化推進委員との密接な連携などを目的に、2017年度に設置された。農業委員3~6人、推進委員5~6人で構成され、毎月1回、30分~1時間程度、市民サービスセンターやJAの会議室、時には屋外など構成員が集合しやすい時間・場所で開催する。農地の受け手探し、利用集積の方法の検討、遊休農地の情報収集、農業者から寄せられたその時々の地域の課題を出し合い、解決に向けた話し合いを行っている。

タブレット端末を活用した現地調査

 区域部会での活動内容は農業委員会総会で報告され、課題や情報を全体で共有。推進委員には後日、区域部会を通じて周知する。市内で無農薬栽培に取り組む若手就農者から、「過去3年間農薬を使用していない農地を探してほしい」という相談が農業委員に寄せられた際には、区域部会において情報を出し合い、数件の候補地から農地のあっせんに結びついたケースもある。

区域部会での意見交換

 区域部会の活動は、地域の諸課題の解決の糸口となっているだけでなく、新人の農業委員、推進委員にとっては先輩の委員に相談できる格好の場となっている。また、農地利用最適化の推進に関する指針の目標設定や、農地パトロールの日程調整・実施方法などを決定する上での意見集約の場としても機能している。佐々木会長は「区域部会は農業委員と推進委員が連携し、きめ細やかな意見・情報交換を行う貴重な現場活動の場。今後も継続して取り組んでいきたい」と語る。

 同委員会では推進委員が委嘱された2017年度から、推進委員の現場活動を支援するため、遊休農地の現地調査などのためタブレット端末を県内でいち早く導入。端末にはカメラや衛星利用測位システム(GPS)の他、現地調査システム「水土里Egg」を搭載している。推進委員が担当区域で遊休農地を発見した場合には、GPSで位置を正確に把握するとともに現場の写真を撮影・記録する。「現地確認の際に場所を確認しやすくて便利」との声も聞かれている。得られた情報は事務局が集約して一元管理する。
タブレット端末を活用した日常的な農地巡回で遊休農地の事前把握ができたことで農地パトロールの精度と効率が向上するなど、導入の効果が表れている。