町の枠超え地域活性化へ合同で 「話し合い」の進め方を研修 大分・九重町農業委員会、玖珠町農業委員会

 県西部に位置し、隣接する九重町(ここのえまち)と玖珠町(くすまち)は県内でも有数の温泉地で雄大な山々を望む自然豊かな地域だ。両町ではこれまでも「人・農地プラン」の実質化に向け、それぞれ取り組んできたが、今般の農業経営基盤強化促進法等の改正を踏まえて、互いが地域活性化をめざし、町の枠を超えた合同研修を行った。

 九重町農業委員会(手島政弘(てしままさひろ)会長)と玖珠町農業委員会(安藤慎八(あんどうしんぱち)会長)は、昨年10月から12月にかけ、全3回の合同研修を行った。2023年度に地域農業の将来像・未来設計図を描く「人・農地プラン」が「地域計画」として法定化されることを受けてのもの。地域の話し合いによる合意形成がこれまで以上に重要となると考え、両委員会が合同で「農業・農村の活性化=まちづくりに向けた話し合いスキルマスター研修会」として実施した。農業委員および農地利用最適化推進委員をはじめ、農政担当職員やまちづくり担当職員、集落支援員などのほか、県振興局職員を含む30人以上が参加。活気のある盛況な研修会となった。
 講師は、(一社)会議ファシリテーター普及協会の釘山健一(くぎやまけんいち)代表と小野寺郷子(おのでらさとこ)副代表。
 研修は、ファシリテーションとは何か、から始まり、座談会などで参加者全員が発言できる方法や実際に地図を使った模擬座談会を開催しての合意形成方法など、一つ一つのスキルの必要性を学んだ。
 研修の最終目標は「地域計画」の策定につなげていくこと。そのためには地域全体としての農業・農村を考えることが重要なことから、「まちづくり」の視点を取り入れた研修をした。参加者からは「こんなに楽しくできるなら、自分の地域でもやってみたい」「今すぐ使えるスキルもたくさんあり、早速実践したい」など反響を呼び、機運が醸成された。

「森(もり)の米蔵(こめぐら)」で両町関係者が一体となって研修
玖珠町の地図を使った模擬座談会を体験
模擬座談会で出たアイデアをグループごとに発表

 地域での話し合いにより合意形成を得た「地域計画」の作成は、企画する行政などの関係者の共通認識と体制整備が必要不可欠だ。
 なぜ「地域計画」が必要とされるのか、その意味をしっかり考え、地域を守り、次代につなげていくために何ができるのか、地域の魅力・資源を再発見し、互いのアイデアを聞き合いながらできる取り組みから始めることが5年後10年後につながるという視点を持つことが大事だ。その第一歩となる話し合いの場は非常に重要となる。
 この研修の最大の効果は、両町の多くの関係者が集い、交流を深めたことだ。今後、継続的に情報共有しながら、互いの良い点を見つけ切磋琢磨(せっさたくま)できる環境づくりにつながった。両町にとって大きな武器となるに違いない。