人・農地プラン推進協で活躍 地域の話し合いに参加しけん引 24年度には「真の実質化」 秋田・羽後町農業委員会

 羽後町(うごまち)農業委員会(小野浩二(おのこうじ)会長)は、同町の「人・農地プラン推進協議会」の取り組みとして、農業委員・農地利用最適化推進委員が地域での話し合いをけん引するとともに、農地の集積・集約化にむけた戸別訪問によるアンケート調査を行うなど、地域に密着した現場活動を行っている。

 2017年、同町は「米の生産数量目標廃止に伴うアンケート調査」を実施した。設問内容は、耕種農業や畜産の課題、とりわけ人と農地の課題などについて回答を得た。その結果、担い手の確保が必要と感じるが人材や手段がないという回答が多く、何をどう進めるか、という前に進める「きっかけ」が必要であることが分かった。
 こうした中で、同町は19年に「人・農地プラン推進協議会」を立ち上げた。同協議会は人・農地プランの実質化を実現するため、①アンケート調査の実施②地図化による現況把握③話し合いによる将来方針の作成などを推進することとし、そのための地域の話し合い組織を立ち上げ、課題解決に向けて取り組んでいる。
 同委員会は、同町農林課と連携し、同協議会の活動として、地域の話し合いに農業委員・推進委員が参加しコーディネーター役として話し合いをけん引。農地の集積・集約化の推進にむけた戸別訪問でのアンケート調査や、アンケート結果などを反映した地図をマッチング活動に活用するなど、地域に密着した現場活動を行っている。
 これまで農業委員・推進委員は、①新たな中心経営体の掘り起こしを目的に、中心経営体候補宅を訪問し希望申出書を配布・回収②担い手が集まる総会・研修会などの場を活用した制度の周知③相対での権利設定から契約期間満了時などにおける農地中間管理事業への切り替え誘導④地域の話し合い組織の役員として参画し話し合いを先導、などに取り組み、その成果として、地域の話し合い組織は21年度末で15組織が設立された。

 同町は今後の展望として、①28年までに地域の中心的な農業経営体が町の3分の2の農地の集積・集約を実現②このうち農地バンクに2分の1の貸借をめざす③20~24年度の5年間で「人・農地プランの真の実質化」の大宗化を図る④町内の保全会を基にした組織化の進展を図っていくこととしている。
 一方で「コロナ禍で集まって話し合いができない」「後継者がいない地区の組織化が進まない」などの課題も多い。
 小野会長は「新型コロナウイルスの影響で、協議会の取り組みが、各地域で思うようにいかない面もあるが、感染症対策を講じながら、できる範囲で活動を継続してきた。各地域には作目のバランスや昔から続く歴史などの理由もあり、必ずしも同じペースで話し合いを進めることはできないが、町全体では着実に前進していると思う。今後も社会状況や生活様式の変化が起きることが想定されるが、農業委員・推進委員ともに、強い協力体制を組み、各機関と連携・協力を密にし、当町の農業発展に寄与していきたい」としている。