経営者組織の活動支える 資質向上へセミナーや意見交換会 富山県農業会議
富山県は水稲栽培が盛んで近年はそれらを活かした6次化や園芸作物の導入への機運も高まっている。これらを実現しようと担い手をはじめとする県内の農業者は技術や経営能力の向上に日々研さんを積んでいる。同県担い手を支援する農業委員会ネットワーク機構の取り組みを紹介する。
富山県農業会議(杉山篤勇(すぎやまとくゆう)会長)は、県農業法人協会、県企業稲作経営者協会、県農業者協議会、県青年農業者協議会の四つの農業者組織の事務局を担当。それぞれの組織で技術や経営などの資質向上に向けた取り組みを進めている。
そのうち、県農業法人協会や県企業稲作経営者協会、県農業者協議会の三つの組織は県内の農業者が主な会員であり、農業経営に必要となる知識や経営向上のためのセミナーを開催している。具体的な内容は経営の複合化や販売戦略のほか、農政の動向を踏まえた幅広いテーマを設定して研さんし、最新の情勢報告と多角的な経営能力を高めるための内容となっている。
近年、同県では農林水産物の輸出促進に取り組んでおり、2022年3月には「とやま輸出ジャンプアップ計画」を策定した。同計画は行政・農業者・地域の商社の3者が連携して輸出拡大に取り組むことになっている。県農業法人協会、県企業稲作経営者協会にも輸出に取り組む会員は多く在籍しており、輸出を見据えたHACCP(ハサップ)の取り組みや知的財産権についての研修などが行われた。今後はこうした取り組みの成果を上げていくことが期待されている。
同農業会議は全国の農業会議で唯一、青年農業者組織の事務局を有している。同県青年農業者協議会は若手農業者が集まる「4Hクラブ」の県組織で県内7地区の若手農業者で構成されている。関係機関との意見交換会や県内外の農場視察を主な活動内容としているほか、年に1度「意見発表・プロジェクト発表」を行い、自身の考えや取り組みを発信している。県内の農業委員や農業法人の経営者にも同協議会の出身者が数多くおり、将来の県農業を担う人材の育成を長年にわたり支援している。
1月23日には、県農業者協議会が「新春交歓会」を開催し、県内の認定農業者およそ300人が参加した。交歓会では、県内の農業の概況や、他県の地域農業への取り組み、インボイス制度についての研修が行われ、参加者は熱心に耳を傾けていた。
また昨年8月には、四つの農業者組織が、横田美香(よこたみか)副知事との意見交換会に臨んだ。担い手として農業現場の実情を訴え、今後の県農政について忌憚のない情報交換が行われた。
かつて県4Hクラブの会長で、現在は黒部(くろべ)市農業委員会会長を務める橋本喜洋(はしもとよしひろ)さんは「さまざまな人とつながりができるので、農業組織の情報伝達や意思決定がしやすい」と語る。