最適化へ 農委会への支援を強化  宮崎県農業会議

 宮崎県の農業生産は、温暖な気候や豊かな大地を生かして畜産・野菜を中心に順調に伸びており、都道府県別の農業産出額では全国4位を誇る。一方で近年は、高齢化や労働力不足により受け手が見つからない未作付け農地が増加傾向だ。このため地域での話し合いを基本に担い手への農地集積とともに生産コストの削減に向けた集約化の取り組みを強化していく必要がある。こうした中、同県内26市町村農業委員会を支援、リードする宮崎県農業会議の取り組みを紹介する。

 今年4月、改正農業経営基盤強化促進法の施行により、農業委員会の新たな役割である地域計画の素案づくりが現場での課題となっている。同県では人・農地プランの実質化の取り組み以来、2020年度から3年にわたって、農業委員や農地利用最適化推進委員、関係職員を対象にしたファシリテーションのスキルアップ研修を開催してきた。話し合いに参加する全員が意見を出せる雰囲気作りからはじまり、進行の役割や意見の取りまとめなど具体的な手法を実践的に研修してきた。22年度は10月に3回、計89人が参加。これまで延べ219人が受講し、地域での話し合い活動に取り組んでいる。
 一方、県内の農業委員、推進委員を対象に〝新たな最適化活動″の充実を図るため、昨年11月27日に全体研修会を開催。約450人の委員が参加した同研修会では「日頃の農地の見守り活動」など、地域の委員としての日常活動から最適化活動を進めていくことが重要と強調。あわせて熊本県合志(こうし)市の事例報告などを踏まえ、委員の日常活動をきちんと記録して、農業委員会としての活動の見える化につなげていこうと呼びかけた。そのほか、県内の人・農地プランの実質化の進め方や、他地域からの法人参入による農地の活用事例について学んだ。

ファシリテーション研修
全体研修会
県農地集積・集約化推進大会でのパネルディスカッション

 同農業会議は毎年、農業委員会からの政策提案などを取りまとめ県への要請を実施している。
 昨年10月には、県知事および県議会議長などへ、地域の実情に応じた農地利用の最適化が図られるよう検討体制を構築することや、地域計画策定への支援体制の強化などを要請。県幹部との意見交換では担い手育成・確保と連動した農地利用の取り組みの必要性などを意見交換。農業委員会事務局の業務が質・量ともに大幅に増大していることから、農業委員会組織の体制強化と関連予算の増額確保に努めるよう要望した。
 こうした知事などへの要請とともに、1月27日には宮崎県と(公社)宮崎県農業振興公社と共催で「宮崎県農地集積・集約化推進大会」を開催。県内の農業委員・推進委員をはじめ、市町村・県の関係者ら約520人が参加した。
 同農業会議では、関係機関と連携し農地利用最適化に向けた支援を引き続き行っていく。