地域の営農実態に合わせ目標地図作成 山梨・市川三郷町農業委員会

市川三郷町(いちかわみさとちょう)農業委員会(渡邊千雪(わたなべちゆき)会長)は「人・農地プラン」が「地域計画」として法定化されることを踏まえ、町内の営農実態に合わせた最適化活動に取り組んでいる。

 同町は2005年に市川大門町(いちかわだいもんちょう)、三珠町(みたまちょう)、六郷町(ろくごうちょう)が合併し誕生。平坦地が多く農業生産が盛んな地域と山間傾斜地で農業依存度が低い地域があり「地域計画」の策定・公表時期についても営農実態に合わせて設定した。
 昨年7月には今後取り組む、委員による農地所有者や耕作者の意向調査の実施日程、意向調査を反映した目標地図素案の作成時期、新規就農者の確保対策の実施など、地域ごとの活動スケジュールも設定した。
 昨年10月には委員ごとの活動実績を取りまとめるとともに意見交換を実施。条件不利地域では最適化活動が限定的となってしまうなどの課題が出された。このため条件不利地域の農地所有者に対し、農地の利用意向について聞き取りを強化するなど活動の平準化を図ることとした。
 同町の市川大門と三珠の両地域は、特産のトウモロコシ「甘々娘(かんかんむすめ)」をはじめとした野菜の栽培が盛んな地域で、規模拡大のため農地の借り入れを希望する農業者が多い。また、新規就農者も昨年から今年にかけて4人が就農していることから、優先的に「地域計画」の策定に向けて準備を進めている。
 農業委員、農地利用最適化推進委員が農地所有者や耕作者に戸別訪問して意向把握に努め、その結果を基に目標地図の素案を11月に作成した。
 そのほかの地域では、担当の農業委員が中心となり、地区の耕地組合の役員などの協力を得て、農地所有者や担い手に意向把握を実施し、目標地図の素案作成を進めている。

打ち合わせの様子(右端が渡邊会長)
目標地図

 新規就農者確保対策では、昨年10月に、県農務事務所と共催で同町への就農希望者を対象にした就農研修相談会を開催。就農希望者11人が参加し、すでに同町で就農した先輩農業者による体験談や町の農業の実情や支援制度について説明。初めての就農研修相談会だったが、参加者から「同町で農業するイメージを描くことができた。今後もこのような就農研修相談会を開催してほしい」といった声も上がり、次回の開催を準備している。
 渡邊会長は「農業委員、推進委員が今まで以上に真摯(しんし)に取り組んでいる。町民はもちろん、就農希望者からも信頼され、誰からも相談される農業委員会をめざし、町の農業の発展に寄与していきたい」と力強く語った。

地域就農希望者向け就農研修相談会