農地利用の最適化活動に全力 遊休農地の再生に実績 農地パトに市長も参加  鳥取・倉吉市農業委員会

 倉吉市(くらよしし)は鳥取県のほぼ中央に位置し、日本海にそそぐ天神川(てんじんがわ)を中心とする河川周辺には豊かな水田地帯が広がる。また南西部の大山(だいせん)山麓に及ぶ火山灰地帯には、肥沃(ひよく)な畑作地帯が形成されている。同市農業委員会(山脇優(やまわきまさる)会長)は、この良好な営農地域の農地を守り、将来につないでいくために最適化活動の取り組みに注力している。

広田市長(中央)も参加した農地パトロール。左は山脇会長

 同委員会は、農地利用の最適化が法定化される以前の2006年から、同委員会を窓口にした同市単独事業「遊休農地解消対策事業」を創設し、積極的に遊休農地の再生活動に取り組んできた。
 同事業は遊休農地を3年以上借り受けて活用する者を対象とし、コストのかかる遊休農地再生の経費を助成するもの。申請のあった対象農地は同委員会が現地調査を行い、毎月の定例会議で助成金額が決定される仕組み。10アール当たり1万円から3万円が交付され、昨年度までに約57ヘクタールの遊休農地が解消された。
 さらに、交付対象者が耕作できなくなった場合は、農地中間管理事業の活用を呼びかけて、農地が再び遊休農地にならないように取り組んでいる。
 こうした取り組みを農家に周知するとともに農家に寄り添う活動として、農家相談「くらよし農業に関する相談会」を毎月1回、第3水曜日に開催。同委員会と市農林課が一緒になって農家のさまざまな相談に対応している。

遊休農地解消対策事業を活用する前の農地
活用後の農地

 同委員会が毎年8月に実施する農地利用状況調査(農地パトロール)は、市農林課、関係団体とも合同で実施し、マスコミも活用してパトロールの実施を市民に広報している。特に昨年の農地パトロールには同市の広田一恭(ひろたかずやす)市長も参加して農地の実態を確認。遊休農地の発生防止の重要性に理解を深めた。
 また同委員会は、農業者の代表として地域での話し合いや相談活動を通じて取りまとめた農業施策を意見書として提出。山脇会長の発案で意見書を踏まえた市長との懇談会を開催した。市長は委員からの質問や意見などについて、自ら直接回答するなど、市農政の課題と解消方策を検討する場となった。
 さらに情報提供活動として農業委員会だよりをカラー化して発行、市内全戸に配布し、農地の情報だけでなく地域の担い手を積極的にPR。新規就農者や集落営農組織を担い手として紹介し市民に周知を図っている。
 山脇会長は「農地について市全体で問題意識を持って取り組むことが重要だ。地域計画も目標地図もそこに関わる皆さんの情熱と覚悟が必要。農業委員会は、その情熱の火を消さず、地域の皆さんが納得し、形にしていくために伴走していく。一歩でも一ミリでも前進していきたい」と抱負を語った。