地域計画の素案作りにIT導入 島根・出雲市農業委員会

 農業経営基盤強化促進法が改正され、各市町村では地域計画の策定を進めている。農業委員会はその基となる「目標地図の素案」作りが本格化し、業務効率化を進めるためタブレットの導入が推進されている。出雲市農業委員会(大梶泰男会長、農業委員24人、農地利用最適化推進委員77人)では、全委員分に当たる101台を導入。農地情報の収集などタブレットを活用した委員会活動を進めるため、大規模な研修会を開いている。

農業委員・推進委員の約9割が参加した研修会

 出雲市は、県東部に位置し、中国山地が源流の斐伊(ひい)川・神戸(かんど)川の流域に広がる出雲平野を中心に穀物、野菜、果樹、花き、畜産など多種多様な品目を生産する。農業生産額、農地面積は、ともに県内トップだ。
 農業委員会では、農地情報の収集などで効率化を進めようと、農業委員・推進委員の全員にタブレットの導入を計画。国の「農業委員会による情報収集等業務効率化支援事業」を利用し、101台を確保した。3月には全委員を対象に、県農業会議が講師を務めた操作研修会を開き、86人が出席した。
 研修では、タブレットなどの電子機器の扱いに慣れていない委員もいることから、基本的な操作から始めた。画面に触れて操作することや文字入力などタブレットの機能を紹介し、使いやすさを強調した。
 その後、実際の活動に関係する内容を研修。現地確認アプリの説明を通して、衛星利用測位システム(GPS)機能を使った正確な農地の位置の把握についてや、タブレットに付いているカメラ機能で現地の様子を撮影しその写真と位置情報の紐(ひも)付けができること、調査後の集計作業が軽減・簡素化できることなどが説明された。

基本的な内容や調査で使う技術などを丁寧に説明

 農業委員会では本年度の農地利用状況調査の現地確認からタブレットを本格的に使っていく。当面はタブレットとこれまで使っていた地図や記録簿などの紙媒体を併用する形をとり、操作に慣れた委員を中心に段階的にタブレットのみの調査に移行する予定だ。
 今回の研修を受けて大梶会長は「タブレット導入により、位置情報が分かり、農地の位置を正確に把握できるため、農地利用状況調査などで大いに活用していきたい。昨今は情報化が進んでいるので、オンライン会議などでの活用も図っていきたい」と農業委員会業務の効率化や活動の広がりに期待を寄せる。