女性委員がチーム、農業者年金で実績  福岡・大木町農業委員会

 大木町は福岡県の南西部、筑後平野の中央に位置する。町の総面積14%をクリーク(水路)が占める平坦な田園地帯だが、キノコ、イチゴ、グリーンアスパラガスなどの生産も盛んで、特にキノコは九州一の生産量を誇る一大産地だ。同町農業委員会(眞崎萬次会長、農業委員18人)では、農業者年金の加入推進部長も務める真辺恵子副会長を中心に4人の女性委員がチームとなり、農業者年金制度の推進に取り組んでいる。昨年度、男性委員の協力を得るなどして県農業会議が示す新規加入者目標3人に対し7人の加入を進め、目標達成率350%で県内1位となった。

右から牟田口さん、荒巻さん、真辺さん、山縣さん、事務局の杉さん

 同委員会では、現在、女性委員が4人おり、真辺さんが3期目、山縣吉子さんが2期目、牟田口美智子さんと荒巻明子さんが1期目だ。
 農業者年金の推進については、委員会の事務局が作成した対象者名簿をもとに4人がこまめに打ち合わせをして戸別訪問などの計画を立てた。訪問の際はその地区の男性委員も同行。事前の声掛けなども協力してもらったことで、話がしやすくなりとても助かったという。
 また、年に1回、町認定農業者組織と一緒に女性農業者の交流会を開いており、新規就農者などの奥さんたちと新しいつながりも作ってきた。その女性のネットワークの会話から、後日、夫婦での加入につながったこともあった。
 4人は農業者年金について「知らない人をゼロにすること」を目標に、まずは「種まきを」と思って活動。制度を知ってもらうためメリットなどを説明し、パンフレットを渡すことを繰り返した。「加入するのは、年齢や経済的な理由などその人その人のタイミングがある。制度を知ってもらい、先々、その人が思い出して加入してもらえれば」と真辺さんは話す。

 真辺さんが農業委員になったとき、女性委員は真辺さん1人だけだった。県農業委員会女性ネットワークからの要請を受け、町長が女性委員を増やすことを約束。次の改選で2人増え3人になり、前回の改選では1人が退任したものの2人が加わり、現在の4人となった。同町では、今後も入れ替わりつつも女性委員が複数人いる体制を維持したいと考えている。今年7月の改選で真辺さんと山縣さんは退任する。事務局の杉克己さんは、新メンバーになってもチームワークで活動に取り組みたいと語る。
 真辺さんは「女性が増え、互いに助け合って、できることが増えた。できる範囲でやっていけばいい。一歩ずつでもやっていけば協力してくれる人が増える」とエールを送る。荒巻さんは「先輩方がいてくれて、とても楽しく仕事ができた。未来の子どもたちのために何かできることがあれば、と思い農業委員になった。まだ、思うようにはできていないが、今後は町の良さをアピールし、楽しみながら、できることを形にしていければ」と思いを語る。