新規就農、企業参入を支援 栃木・宇都宮市農業委員会

 農業委員会は農地等の利用の最適化を推進するため、「担い手への農地利用の集積・集約化」「遊休農地の発生防止・解消」「新規参入の促進」に取り組むこととされている。宇都宮市農業委員会(篠崎和一会長、73)では、同市の農業企画課や農業公社など関係機関と連携し、新規就農、企業参入への支援に特に力を入れている。

作業体験実習会で新規就農者に指導する篠崎会長(右端)

 農業者の高齢化や後継者不足が進む中、同市農業委員会は地域農業の新たな担い手を確保・育成しようと、積極的に就農希望者や新規就農者を支援している。
 同市の農業委員・農地利用最適化推進委員は、豊富な知識と経験を持つ先輩農家として新規就農相談会や就農者との懇談会に出席し、同市で農業を始めたい人を呼び込んでいる。2020~22年度の過去3年間で25経営体が新規参入し、約38㌶の農地の経営を始めた。
 平石地区を担当する平出清一農業委員(73)は、新規就農者から農地の相談を受けると、自らのネットワークを活用し、知り合いの農家に声をかけ農地をあっせんしている。
 また、それにとどまらず、技術の指導から就農者と出荷先の橋渡しまで行う。新規就農者を育成することも農業委員の役割だと考え、同地区担当の推進委員と共に就農後もさまざまな相談に細やかに対応したり、作物の生育状況を見守るなどアフターフォローを欠かさない。
 個人に限らず企業への支援にも取り組む。清原地区を担当する齋藤勝明推進委員(66)は、新規参入を希望する法人と農地のマッチングを1年で30件以上成立させ、農地の利用集積と遊休農地解消に奮闘している。

新規就農者の相談にのる平出委員(右端)

 同市農業委員会事務局の担当者によると、新規就農者への支援や農地のあっせんに積極的な委員が多く、委員自ら段取りを組んで進めているという。
 活発に活動する委員が多い同市農業委員会の中でもとりわけ就農希望者の育成に力を入れているのは、イチゴを生産する篠崎会長。県が就農者の指導役として認定する「とちぎ農業マイスター」として、毎年多くのインターンシップ生や研修生を受け入れ、指導にあたっている。
 今後の農業委員会が取り組むべき新規就農者への支援について、篠崎会長は「女性の就農者が増えているので女性目線の支援が必要だと思う。そのためには女性委員の登用が欠かせない。固定観念に縛られず、女性の力で農業をさらに盛り上げてほしい」と女性委員の活躍に期待を寄せる。