担い手への農地集積・集約化に一丸 青森・つがる市農業委員会

 つがる市農業委員会(藤本正彦会長)では、管内における遊休農地率が0.1%を切る。これは、中間管理事業を活用し、集積・集約化を進めているほか、農地パトロールや新規就農対策など、農業委員会が一丸となって活動に取り組んでいる成果だ。

農地パトロールは委員会が一丸となって進める

 津軽平野が広がる県中西部に位置し、水稲のほか、メロン、スイカ、ナガイモなどの生産が盛んなつがる市では、農地集積率が90%以上を誇る。このため、農地利用最適化推進委員は委嘱せず、農業委員36人の体制で活動する。
 遊休農地解消の対策として特に強化しているのが農地パトロールだ。農業委員を5班に分け、7月から10月にかけて実施する。委員個々が日頃から遊休農地発生防止や違反転用に監視の目を光らせ、パトロール終了後には利用意向調査の実施を欠かさない。その結果、2022年度には、6.6㌶あった遊休農地のうち0.6㌶が解消された。
 また、遊休農地の発生防止の観点から、定期的に、人・農地プラン集落座談会を開催し、農業者の意見を吸い上げている。座談会には、農業委員も参加し、5年後、10年後の地域の農地の姿を想定しながら話し合いを進める。
 藤本会長は「集積・集約化に近道はないので、日々の活動が何より重要」と日頃の地道な活動の重要性を強調する。

 農地の取得を希望する新規就農者に対しては、市長部局と連携し、農地情報の提供を積極的に行う。具体的には、新規就農見込み者の情報を農業委員で共有し、農地のあっせん台帳を整備し、月例の「あっせん委員会」を開く。
 その結果、22年度のあっせん件数は108件となり、4経営体が2.4㌶の農地を取得して新規就農した。
 このような活動の結果、離農する農業者の増加や認定農業者の減少という要因がありながらも、22年度末時点の集積率は90.3%と県内一の成績となった。

人・農地プランの集落座談会で将来を想定しながら話し合う

 つがる市では、家族経営が大半を占める土地柄のため、家族全員が主体的に経営に参画し、意欲と能力を存分に発揮できる環境整備をしている。きっかけづくりとして、家族経営協定の締結を推進している。
 22年度末現在、115戸が協定を締結し、本年度も現在までに2戸が協定締結に至った。
 今後も家族経営協定の締結を通じて、めざすべき農業経営の姿や、家族みんなが意欲的に働くことができる環境整備に取り組んでいく予定だ。

家族経営協定締結式には夫婦や家族で参加する