目標地図の素案作りへ準備着々 広島・世羅町農業委員会

 世羅町(せらちょう)農業委員会(農業委員14人、農地利用最適化推進委員31人、内海武博(うつみたけひろ)会長、73)は、「人・農地プラン」が「地域計画」として法定化することを踏まえ、さまざまな準備を始めた。町内の営農実態や地域状況に合わせた最適化活動にしようと考えており、会長と職務代理者2人の地元の3地区が他地区のモデルになるよう、先行して目標地図の素案作りを進めている。

 同町は2004年、甲山町・世羅町・世羅西町が合併し誕生した。「世羅台地」と呼ばれる標高350~450㍍の台地を形成する特徴ある地域だ。内海会長の地元「赤屋地区」では、今年3月に農地所有者75戸(約60㌶)へ「農業経営意向調査」を実施し、結果を農業委員会サポートシステムに入力を始めた。約30㌶は地域の農事組合法人が経営しているが、山や谷で傾斜地の多い同地区は、農地面積の5分の1が畦畔で、耕作条件面では課題を抱えていることも再認識した。「しっかり考えて計画を進めないと、今後の地域の意向次第では山間の農地は守り切れない可能性もある」と内海会長は言う。
 作田博職務代理者(70)の「重永地区」と折元文則職務代理者(50)の「小国地区」の農業経営意向調査は、サポートシステムの台帳情報の活用によるタブレット使用も含め準備を進めている。
 タブレットは、昨年度農業委員・推進委員全員に導入した。8月に予定している農地利用状況調査から本格的に活用するため、8月1日に県農業会議によるタブレット研修を開いた。

タブレットの操作を現地で確認する(左から)折元職務代理者、内海会長、作田職務代理者と解説する農業会議職員
タブレットの普及も着々と進む
サポートシステムによる目標地図の素案

 20年に会長に就任した内海会長は、他市町の会長と積極的に意見交換や交流をしてきた。委員会総会で、適正な農地法等関連の審議方法や広域的な農地利用に対応できるよう、情報を集める。
 近隣の二市一町の農業委員会総会の傍聴に出掛けることもあり、総会を含めた委員会運営の活性化に力を入れている。
 内海会長は「地域計画の策定には、地域によって条件が違い、さまざまな意見が寄せられると思う。これから担ってくれる若い人の意見をまず一番に取り入れ、担い手がいなければ地域外から入れる条件整備も視野に入れた目標地図の素案作りが必要だ」と語る。