地域計画の素案作りを着々推進 大阪府内の農業委員会の活動

 大阪府農業委員会組織では府農業会議と市町村農業委員会が一丸となり、地域計画策定や目標地図の素案作りを進めている。先行している市町村では、人・農地プラン実質化に向けた意向調査や地域の話し合いが土台となり、すでに現況地図や目標地図の素案を作成したところもある。太子(たいし)町は地域の過疎化を、交野(かたの)市は住宅など都市開発をそれぞれ危惧しつつ、地域の実情に合わせて対策を加速化している。

太子町畑地区で4月に開かれた地域計画説明会

 太子町農業委員会(金谷和美会長)は、地域計画の策定に向けた取り組みが府内で最も進んでいる。同町畑地区では、すでに目標地図の素案を作成し、新規就農者などへの農地集積を進める。同地区の谷内啓雄(ひろお)町会長が地域の過疎化に危機感を覚え、積極的に行動したことが背景にあり、それまでに農業委員会主導で実質化した人・農地プランがベースになったことが大きな要素となった。
 農業委員会が畑地区の意向把握を実施したのは2022年9月。11月には調査で得られた規模拡大・縮小、貸付意向などを地図に書き込み、現況地図が完成した。
 23年4月に同地区で開催した地域計画説明会では、「今後6年で世帯数が11%減少」「平均年齢が町内全体に比べて8歳高い」「地域外の参入なくしては地域の存続が危うい」──などを説明。このことから、地域の新規就農者や新規就農候補者に貸付意向のある農地を集積する方針などを盛り込んだ目標地図の素案の了承を得ることができたという。同月に早速16㌃が新規就農希望者に貸し付けられ、現在、町内他地区においても取り組みを進めている。

7月に開催された交野市星田北地区の集落座談会では、現況地図をもとに話し合った

 交野市農業委員会(友田正直会長)においても、人・農地プラン実質化に向けた取り組みが大きなアドバンテージとなり、市内6地区のうち5地区で現況地図を完成させた。
 交野市は農業振興地域がなく、太子町とは対照的に都市開発の圧力が強い地域だ。市内星田北地区では市街地に囲まれた7.6㌶の農地が集団で残っており、友田会長をはじめ地区の農業委員は農地が無秩序に開発されないよう、また、将来にわたってどう維持するか検討した。そのためには農地利用の意向把握が重要と考え、調査の実施を市に働きかけた。
 20年7月に調査を始め、その結果や現況地図をもとに今年3月から3回の集落座談会で協議。地域の農業者や住民と次世代の担い手確保への懸念や営農上の課題を共有した。
 農業委員会では今後も地域農業の維持と発展のため、話し合いを継続する予定だ。また、現況地図の空白部分を埋めていくため、引き続き未回答の農家の意向調査などに取り組んでいく。