現地確認アプリを積極的に活用 山口・萩市農業委員会

 萩市は山口県有数の農業地域だが、島しょ部から標高400㍍の山間地域まで農地が点在しており、いわゆる条件不利地といわれる農地の維持管理は個人農家に頼らざるを得ない状況だ。これらの農地を守るため、萩市農業委員会(片岡兼雄会長)では、現地確認アプリの積極的な活用を進めている。

操作方法を確認

 萩市では、後継者のいない農家のリタイアや集落営農法人の経営縮小などにより、耕作放棄地の増加に歯止めがかからない状況だ。しかし、このような中でも中山間地域や条件不利地で、個人農家の努力により耕作が継続されている農地がある。
 萩市農業委員会では、こうした個人農家が耕作している周辺農地を維持することが、将来にわたって集団の優良農地を守っていくことにつながるとの考えから、タブレットと現地確認アプリを積極的に活用して、周辺農地の状況把握(健康診断)を行っている。
 調査(診断)の結果によっては、農地以外の利用を考える必要もある。片岡会長は「農地の現状だけでなく、それぞれの農家の意向、後継者の状況などを総合的に判断できるのは地域の農業委員と農地利用最適化推進委員」と話す。
 タブレットを使用している推進委員全員が、現地確認アプリの操作をマスターして中山間地域の農地を確認する。調査結果を市の農政部局と共有し、効果的な施策展開に結び付けたいとの思いで活動している。

農地の現況を撮影

 本年度の農地利用状況調査は7月から順次実施しており、9月12日には萩市三見(さんみ)地区で調査が実施された。午前9時に市役所支所に集合し、片岡会長、地区担当委員の横山喜一郎さん、田村秀施さんと事務局職員で、本年度からタブレットで使用可能になった電波が届かない地域でのオフライン機能の操作方法を確認し、調査が必要な農地の情報をダウンロードして準備は完了。
 現地ではオフラインに切り替えるとともに、該当農地の管理状況を確かめ、タブレットで写真を撮影した。今後の営農や維持管理の見通しを協議し、通信可能な場所へ移動してから写真をアップロードして一連の作業は完了した。
 元気に活躍する委員も多くは70歳代だが、事務局職員がアプリの操作に習熟しているので、農業委員、推進委員へのサポートは完璧だ。農地利用の最適化に向けて、タブレットのさらなる活用が期待される。