市内各地で推進体制立ち上げへ 兵庫・三木市

 三木市と三木市農業委員会(大原義弘会長)は、今年4月から市内すべての集落を対象に「地域計画(人・農地プラン)説明会」を開き、地域の話し合いや地域計画の策定、目標地図の素案作りなどに向け一丸となって取り組んでいる。

話し合いは、集まりやすいように集落の行事の後に開催を計画

 説明会でまず呼びかけているのが、推進体制の立ち上げだ。同市には118の農会があり、それがそのまま地域計画の策定目標数となる。各農会には、それぞれ農会長がおり、地域の区長(自治会長)や営農組合長、農業委員、農地利用最適化推進委員など地域のリーダーを中心に推進体制の編成を呼びかけ、地域の今後について検討している。
 同市でいち早く目標地図の素案ができたのは細川町上芝原集落。農家戸数11軒、集落外からも10軒が入って営農している。特産の山田錦が主要作物の地域だ。
 4月に市の説明会に参加した農業委員の山中英樹さん(66)が、「地域を代表して農業委員をしているし、営農組合長でもあるので、まずは自分の集落で作らないといけない」と考え、区長と農会長に声をかけ、3人が中心となって進めてきた。
 まず初めに取り組んだのは、意向把握のアンケート。項目は、市のサンプルをもとに3人で相談して決め、農会で配布。集落外の農家には山中さんが配って回った。「回答までの期間を長くすると忘れられてしまう」と回答期限を1週間後に設定し、回答が遅い家には、山中さんが戸別訪問をして集めた。
 山中さんは、「アンケートの結果で意外だったのが、10年後もほとんどの人が自ら耕作すると回答したこと。もっと後継者がなく農業を続けられない危機的状況になるかと思っていたが、アンケートしてみないとわからないものだ」と話す。

「集落で大型特殊免許を持っているのは2人。営農組合の合併による広域化が今後の課題」と話す山中さん

 一方で、課題も見えてきた。目標地図作成に向け話し合うが、同地域は、不整形で畦畔の高い農地が多く、借り手も新規就農なども期待できない。耕作できない人が増えれば農地を守れなくなる。
 山中さんは、「向こう10年はなんとかなるかもしれないが、将来を考えると担い手がいない。近いうちに隣の集落にも理解を求め、営農組合の広域化などについて話し合っていきたい」と話す。