基盤整備事業 地域計画策定 共通点多く一体的に推進 山形・寒河江市農業委員会

  寒河江(さがえ)市農業委員会(木村三紀(みつのり)会長、農業委員18人、農地利用最適化推進委員9人)では、モデル地区を設定し、基盤整備事業と地域計画を一体的に策定する取り組みを進めている。推進体制は、村山総合支庁農村計画課、山形県農業会議が策定まで後押しし、同市農林課、地元の寒河江川土地改良区が全面的に連携と支援を行っている。

 現在、モデル地区として取り組みを進めているのが柴橋(しばはし)地区。同地区は、もともと基盤整備事業の採択をめざして話が進んでいた。同時期に、法改正に伴う地域計画の策定についても検討を開始。基盤整備事業では営農計画や営農地図が求められるが、地域計画においても目標地図が求められており、将来の農業を語るうえで共通点が多い。この機運を捉えようと、同地区では同時並行の話し合いが進んでいる。
 地域計画の策定を想定したアンケート調査は、2022年の冬に実施した。アンケート調査では、基盤整備事業のアンケートをベースに、営農計画と地域計画に必要となる項目を抽出。地元に詳しい土地改良区が中心となり1004人に送付して回答を求めた。回収率は8割を超え、地図にも意向を落とし込んでいる。
 その結果をもとに、主にワークショップ形式で話し合いを進め、具体的な計画の作成へ動き出している。

ワークショップであいさつする木村会長

 同地区の第1回のワークショップは23年3月に開催。地区内に声がけをした結果、女性や若手農業者も含め、約100人が参加。関心の高さをうかがわせた。
 このワークショップでファシリテーター役をしたのが、農村づくりプロデューサーとして全国各地で活躍する髙橋信博氏だ。
 ワークショップでは、はじめに同地区における「気づき」をテーマに実施。アンケート結果や、事前に役員中心で行った現地調査の結果も写真を交えながら共有した。
 話し合いでは同地区の強みや弱み、資源や今後不安なことを付箋に書き出し、現状の問題点や将来取り組みたいことなど多様な提案が出された。
 この内容をさらに具体的にするため第2回のワークショップを7月に開催し、約80人が参加。農業に関するより具体的な提案を付箋に書き出してもらい、総数357個の提案にまとめた。
 今後は、具体的な担い手や整備計画についての話し合いを行うため、ワーキングチームを立ち上げ、誰が何を作るのかといった計画に落とし込んでいく。今冬には、営農検討会や目標地図に関する話し合いも行う予定だ。
 木村会長は、「地域の皆さんが前向きな話し合いを行っていってほしい」と話している。

高橋さん(奥)がワークショップを進行した